今日は激しくお勉強
のんびりと過ごした昨日とは打って変わって、今日は大分勉強(=書き物)をしましたよ! 今、書いているのはアメリカの有名なブッククラブである「ブック・オブ・ザ・マンス・クラブ」についての文章なんですが、これがなかなか面白いクラブでね。 このクラブが創設されたのは1926年。アメリカ文学史的には、いい時代ですわ。 で、このクラブの仕組みは、クラブの選書委員会が毎月一冊、新刊の文学作品の中から優れたものを選び出し、それを会員に郵送する、というもの。当時のアメリカは国土の割に書店の数が少なかったため、本好きの人たちも本を買うのに苦労していたわけ。だから、郵送で本が買えたらすごく便利だったんですね。 ところが。 こんな感じで本を売り始めたものの、最初は大失敗だった、と。どうしてかというと、会員に本を送るのはいいのですが、会員の半分以上が返本してきたからで、いくらクラブが「この本はいいですよ~」と言っても、必ずしも会員のすべてが同意しなかったんですな。 そこでクラブはどうしたか? 返本のルールを変えました。事前に「来月はこの本を送りますよ~」と告知しておいて、「もし嫌なら、何日までにその旨、クラブに知らせて下さい。期日を過ぎたら、本を買うという意思表示と受け取りますからね」と、そういうシステムに変えたんです。 と、どうなるかと言いますと、たいていの会員は、たとえ翌月の推薦本があまり気に入らなくとも、期日までに「いりません」という意思表示をするのを忘れるので、結局、ほとんど強制的にクラブが選んだ本を買うはめになると。 頭いいね~! これぞ、メール・オーダー・ビジネスの勘所だよね! だけど、このクラブは単にずる賢かっただけではなく、ちゃんと文学作品の傑作を選んで会員に送り続けたため、次第に信用を得るようになり、会員数もウナギ登り。第二次大戦前には90万人近い会員を要するようになったんですな。 90万人ってスゴイ数ですよ。だって、ブック・オブ・ザ・マンス・クラブがある本をその月の推薦本に選ぶとなると、その時点で原則90万人がその本を買うということですから、一般に市販される分と合わせればたちまちミリオンセラーですよ。 というわけで、『風と共に去りぬ』も『動物農場』も『アメリカの息子』も『ライ麦畑で捕まえて』も『ソング・オブ・ソロモン』も『ガープの世界』も、みーんなこのクラブを通じてミリオンセラーになった口でーす。 だからね。文学の世界の評価ってのは、それがどういう風に売られたかってのを考慮しないと、正確には分らないわけですよ。その辺のことが、従来の文学史に決定的に欠如しているところなのでありまして。 で、日本でその辺を研究しているほとんど唯一の人、それこそ、我らが釈迦楽先生であると。ま、そういうわけでございます。 というわけで、今日は頑張りました。偉いぞ、ワタクシ!