四国旅行日誌(その2)
今日は四国旅行二日目の模様を一席。 昨日、琴平駅前のホテルに宿泊したところまで書きましたが、翌朝、ここを後にして我らが向かったのは、もちろん金毘羅様でございます。 ところで私、自慢じゃないですけど知識の方向性に極端なムラがありまして、金毘羅さん=階段という予備知識がまったく無かったという・・・。ですから、いきなりの階段攻めにしばし呆然。そしてあっという間にバテバテ。なるほど、同じく金毘羅さんを目指している善男善女たちが手に手に杖みたいなのを持っているわけですな・・・。 それでも休み休み、何とか上までたどり着きましたよ。うーん、達成感! そして絶景。もちろん金色のお守り袋も買っちゃいました。金運よ、上がれっ! で、せっかく頂上まで来たのだからと周辺をうろうろ見て回ったのですが、見ると金毘羅さんの本堂の隣に変なお堂があって、そこには額入りの船の写真なんかがべたべたと飾ってある。どうも海運会社や漁師さんなんかが、ここで建造した船の安全祈願をするらしいんですな。で、説明を読むと、あらま、金毘羅さんって船の航行の守り神なんですって? ああ、それで「金毘羅フネフネ」って言うのか・・・。と、勝手に解釈して納得。 とまあ、そんな感じでとりあえず「一生に一度はお参りをすべき」という金毘羅参りを無事終えた我ら夫婦は、次に参道にあるうどん屋さん、「金毘羅うどん」に向かいました。家内の親友の御主人がこちらのご出身とのことで、あらかじめどのお店がいいか、おススメしてもらっていたんですよね~。 で、やはり基本を押さえるべきだろうと、お店でも一番シンプルなうどんを注文することに。すると出てきたのは、どんぶりに茹で立てのうどんが盛られ、その上に花かつおとかネギとか、そんな感じのがどさっと乗っているもの。汁はかけてなくて、これに直に醤油をかけて食すものらしいんですな。釜玉うどんの、卵抜きみたいな感じ。 で、食べてみたらば、やっぱりうまいもんですな! 三重県の伊勢にも「伊勢うどん」と言って、これに近い食べ方をさせるものがありますが、讃岐うどんの場合は、伊勢うどんで使う醤油とはちょっと違って、もう少し薄味の、出汁が若干加わっているのかな、と思わせるような穏やかな醤油を使うんですが、これがまたいいお味で。さすが本場の讃岐うどん、堪能いたしましたっ! ちひちひ、情報感謝です~! かくしておいしいうどんにすっかり満足した我らは、勢いに乗って、はす向かいにあった「灸まん」のお店に入り、この辺の名物らしき灸まんとやらも食べてしまいました。灸まん1個と羊羹二切れ、それに煎茶がついて200円という良心的な灸まんセット。で、この灸まんですが、譬えて言えば「小さな銘菓ひよこ」みたいな感じのお菓子でありまして、サイズが小さいだけでなく、味もひよこよりもっとずっと素朴。なかなか好感のもてるお菓子でございました。 さて、そんな感じですっかり金毘羅さんを味わい尽くした我らが次に向かったのは、松山・道後温泉。善通寺ICから再び高松自動車道に乗り、川之江ジャンクションで松山道へ。松山ICまでは1時間半くらいの道のりです。 で、インターから直接道後温泉に向かっても良かったのですが、私の希望でちょいと寄り道し、反対方向の砥部の街へ向かいます。 砥部ってのは、陶器の町でしてね。と言っても、砥部焼というのは芸術性を追求したものと言うよりは、日常使いの陶器が主なんですが、旅先でちょっとした焼き物を買ったりするのが好きな私としては、むしろそういう方がいいのでありまして。で、とりあえず砥部焼伝統産業会館に立ち寄った後、窯元めぐりの散策です。 で、実際に歩いてみると、砥部ってのは何だかのんびりしたところでね。小さな窯元が並んでいるという点では愛知県の常滑の街みたいなところがあるんですが、常滑と比べても遥かに商売っ気がないというのか、ま、ほんとに静かな田舎の町、という趣です。 で、町の一番奥の高台に「陶里ヶ丘」というところがあって、若手の陶芸家たちの窯元が並んでいるところなんですが、その辺を中心に見て回ることしばし。しかし、うーん、町並みと同様、今ひとつ押しが弱いというのか、「これは買いたいなあ!」と思わせてくれるような陶器には結局出会わず。そこはちょっと残念でしたが、それでも静かな焼き物の里を散策して、のんびりした気分になっただけ、良かったかな、と。 というわけで、砥部の街を楽しんだ後、いよいよ道後温泉に向かいます。 我々の今日の宿は、漱石の小説『坊っちゃん』で名高い「道後温泉本館」のすぐ隣。ということで、宿で夕食を楽しんだ後、浴衣に雪駄という出で立ちで道後温泉本館へ。 さて、この道後温泉本館。行ったことのある方はご存知と思いますが、坊っちゃんの時代と同様、料金に上・中・下がありましてね。私たちはもちろん、迷わず「上」を選びました。坊っちゃんの時代は八銭だったそうですが、今は一人1,500円、二人で大枚3,000両です。 しかし、結果から言いますと、ここに来たら1,500円払ってでも「上」コースを選ばないと駄目。道後温泉本館を堪能するには、これしかありません。 とにかく、「上」は扱いが違うんですよね。まず案内人がつく。で、由緒あるこの本館の中を案内してもらえるわけ。天皇陛下や皇族の方々が入る風呂とかね、そういうのを案内つきで見せてくれる。 そして何と言っても「上」では8畳か10畳ほどもある畳の個室を貸してくれるんですよね。これ、すごくないですか? で、この個室で一旦専用の浴衣に着替え、「上」の料金を払った人だけが入れる「霊の湯(たまのゆ)」に入れると。この贅沢、この優越感。これはね、1,500円払う価値はありますよ。しかも、湯から上がった後、係の人がお茶と「坊っちゃん団子」を部屋まで持ってきてくれるサービス付き。 というわけで、気分はしばし坊っちゃんの時代、明治時代に飛んで、最高に贅沢なくつろぎ感を堪能できると、まあ、そういう次第なんですな。帰りに、本当に漱石が使ったという「坊っちゃんの間」も見学できますしね。 とまあ、そんな感じで、道後温泉本館、実に面白かった。四国旅行の二日目は、これに尽きる感じがしましたね。まだここを訪れたことのない方、是非一度いらして見て下さい。教授の熱烈おすすめ! です。 さて、二日目もここで終了、明日は三日目の模様をお伝えします。が、明日は涙なしには読めないですからね。ハンカチをご持参の上、ご来場下さいませませ~!