ジム・ダイン展を見る
今日は金山にある「名古屋ボストン美術館」でジム・ダイン展を見てきました。 今回の名古屋での展示に合わせて、この春、ジム・ダイン氏は名古屋を訪れ、愛知県立芸術大学で講演をされたのですけど、それも聞きに行ってしまったほどジム・ダイン・ファンの私。以来、折を見てこの展覧会を見に行こうと思いつつ、何やかやと忙しくのびのびになっておりましてね。で、今日はついにその思いを遂げた、というわけ。 幸いなことに名古屋ボストン美術館は愛知県の様々な大学などと提携をしておりまして、おかげで私はこの美術館には顔パスで入れるの。いいでしょ? で、家内の分だけ料金を支払って、いざ中へ。 最初の展示室は、ダイン氏の初期のテーマである「工具」にまつわる作品が展示されていました。講演会でもおっしゃっていましたが、彼の親だったかお祖父さんだったかは金物屋さんだったんですな。ですから金槌だとか、斧だとか、レンチだとか、のこぎりだとか、そういうものは彼の身近なところにいくらでもあり、そして彼はそれらの道具の中に比類なき美を見ていた。ゆえに、彼の最初の創作テーマは「工具」だったと。 しかし、当然のことながら、画家を鼓舞するインスピレーションは、画家の成長と共に、また時代の変化に従って変わっていきます。そしてその過程で、ダイン氏を一躍有名にした「バスローブ」シリーズや、当時流行のポップ・アートと共鳴したかのような「ハート」シリーズなど、傑作が次々と生まれていく。 しかし、そういう抽象的なテーマに取り組んだのち、彼は「自画像」であったり、あるいは「ギリシャ彫刻」といった具象的なテーマへと移っていきます。 そう、通常の画家が辿る「具象から抽象へ」という流れとはまったく逆に、ダイン氏は「抽象から具象へ」というコースを辿りながら、芸術的な成長を遂げていくわけ。その辺、ちょっと面白いですよね。 さらにダイン氏の作品の面白いところは、一枚の絵がどんどん変貌していくことです。 彼の作品は版画が主で、通常、版画というのは、ある程度の枚数を刷った後、原版を廃棄してしまうものなのですが、彼はその原版にさらに手を入れて、別な作品を生み出すんです。で、それを刷った後はさらにそこに手を入れて、第三の作品を生み出す。つまり、作品がどんどん変化していくわけ。芸術作品がどんどん変化し、成長していく過程が見られるということ。これがダイン作品の妙味なんですな。 そして、70歳代となったダイン氏の今の関心の的は、面白いことに、「ピノキオ」なんですと。子どもの時に見たディズニーのアニメのピノキオが、老境に差し掛かったアーティストにインスピレーションを与えているんですな。子ども時代の身近な遊び道具だった「工具」からスタートし、長いアートの旅をしてきたダイン氏が、今、再び子供時代の思い出である「ピノキオ」に戻りつつある。釣りで言う「鮒に始まり鮒に終わる」みたいなものなんでしょうか。面白いもんですね。 とはいえ、やはりジム・ダイン氏の作品群の中でインパクトがあるのは、代表作である「ハート」と「バス・ローブ」かな・・・。それらの中には、思わず欲しくなるものがありました。また植物を描いたものや、ギリシャ彫刻系統の作品にも、何点かすごくいいものがありましたね。こんな感じ! ↓ジム・ダイン【Jim Dine】額装ポスター A heart at Opera価格:53,340円(税込、送料別)A Husband with His Left Arm on Fire価格:12,600円(税込、送料別)【アートポスター】Double Venus in the Sky at Night(550×925mm) -ジム・ダイン-価格:3,570円(税込、送料別) というわけで、今日は念願だったジム・ダイン展を見に行くことができて、大満足でございます。 で、せっかく金山まで来たのだから、ということで、帰りに「アスナル金山」なる駅に近接したショッピング・モールみたいなところに行って軽くお茶をし、バナナ・レコードやインテリア・ショップの「George's」などを冷やかしたり。特に後者は色々面白いものがあって楽しめましたね。 で、その時点で6時半くらいになってしまったので、今日は夜も外食することにして、153号線沿いの「龍月」という粋なラーメン屋さんで、ジャズを聴きながらラーメンをいただくことに。柚子の風味の効いたスープで、硬めの細麺。さっぱりとしてなかなか結構なもので。 そんなこんなで今日は一日遊びましたけれど、いい息抜きになりました。その代り明日はちょいと頑張って勉強することといたしましょうかね。