恩師と翻訳で対話
このブログでもしばしば登場しますが、大学院生対象に行っている翻訳演習の授業が結構自分でもお気に入りで、毎週、英語で書かれた短篇小説を翻訳して楽しんでおります。 で、今、翻訳しているのは Toshio Mori という日系アメリカ人作家が書いた『Yokohama California』という短篇集の中の「Tomorrow and Today」という短編。美人の妹と不器量な姉の物語なのですが、これがまた切ない話でね。訳していても泣けてくる。 ところで、この短篇集、実は私の恩師の手になる邦訳があるんです。で、当然のことながら、その恩師の翻訳を参考にしながら、自分なりの訳稿を作っていくわけ。 するとね、そこで対話ができるのよ! さすが、翻訳については百戦錬磨の恩師だけあって、全般的に実にうまい訳をされているのですが、そういう絶妙な訳文に出くわす度に「おお、先生、そう来ましたか・・・」みたいになるし、また逆に、自分がいい訳文を思いついた時などは、「先生、これ、僕の訳の方がいいんじゃないすか?」みたいな感じで、ちょっと自慢したくなる。そうやって、思わず唸ったり、ニヤリとしたりしながら、今は亡き恩師と対話をするわけ。 まあ、先生が生きているうちにそういうことをしておけば良かったのですが・・・。まあ、「恩師孝行、したい時には恩師はなし」というわけでね。 でも、遅きに失したとはいえ、今、翻訳という作業を通じて亡き恩師と対話をするというのも、乙なものでございますよ。 というわけで、恩師を偲びながら、楽しい翻訳作業に打ち込んでいる私なのでありました、とさ。これこれ! ↓カリフォルニア州ヨコハマ町【送料無料】Yokohama, California [ Toshio Mori ]価格:3,385円(税込、送料込)