『かもめのジョナサン』とフランスのアマゾン対策
本好きにとっては興味深い二つのニュースが入って参りました。 まずは『かもめのジョナサン』の決定版が出版されたというニュース。これを聞いて、「え? じゃあ、従来のヤツはなんだったの?」と思いましたが、なんでも原作者のリチャード・バックが最終章を封印していて、この封印が40年ぶりに解かれたため、この度の最終版の出版とあいなったとか。日本語版の訳者は、もちろん、五木寛之と。 『かもめのジョナサン』かー。1970年出版。私はギリギリ小学生だわ。だけど、この本が家にあったのは覚えていて、シートン動物記とか、戸川幸雄とかの動物文学なんかに目がなかった私もチラ読みしたのですが、かもめが擬人化されていて、しかも肝腎のジョナサンが「ハチのムサシは死んだのさ」的に妙に求道的で、「おいおい、動物文学ってのは、こういうんじゃないだろう」と、適当なところで投げ出したことも記憶にある。まあ、いたいけな日本の子供に、ビート・ジェネレーション的なメンタリティが理解できるはずもないわけで。 むしろ小学生時代の私にとっては、その後続いた「下らないクイズ」の流行の中に、『かもめのジョナサン』は溶解していったんだよなあ・・・。 たとえば、こんなの。 「四国で八十八か所の寺をめぐっているかもめはだーれだ?」 答えはもちろん「かもめのお遍路さん」。 今考えてみると、結構面白いな。 ま、それはともかく、『かもめのジョナサン』の最終章を読む事も含め、まったくこの本を理解できなかった小学生時代のリベンジをするためにも、久々に求道的なかもめの話でも、読んで見ましょうかね。 それにしてもリチャード・バック78歳、五木寛之81歳。二人共大分年をとったものですが、何が(長期的に)流行るかということへの五木寛之の鋭敏な嗅覚は、相変わらず衰えていないねえ・・・。 さてもうひとつの話題は、アマゾンをはじめとするネット書店に対し、送料無料のシステムをやめさせるための法律がフランスでできた、という話。 アマゾンなどが送料無料のシステムを維持すると、人々の多くはこれを利用するため、既存の小規模書店が潰れてしまう。しかし、そういう書店こそがフランス文化の根っこだと考えるフランス政府は、それらの書店の保護のために、この法律を可決した、ということらしいのですが。 ううむ。すごいな。 ま、裏のことは分りません。しかし、表面的なことだけで判断するならば、大したもんだよね! 日本で、政府がこういう風な文化保護政策を考える、なんてこと、想像もできないもんなあ。さすがは文化国家フランス。御見それしました~って感じですね。【楽天ブックスならいつでも送料無料】かもめのジョナサン完成版 [ リチャード・バック ]価格:1,404円(税込、送料込)