最近読んだ本あれこれ
最近読んだ本についてあれこれ書いておきましょう。 一番面白かったのは、松任谷正隆さんの『僕の散財日記』。これ、先日「ブ」(=ブックオフ)で108円で買った奴。 私思うに、人生というのは「選択」の連続でありまして、朝何時に起きるか、朝食に何を食べるか、何を着ていくか、どこで何を買うか、誰と会うか、どこで会うか、電車で行くかクルマで行くか、泊るか泊らないか、とまあ、意識するとしないとに係わらず、数え上げたらきりがないほど日々、瞬間瞬間、選択をしているわけですな。 ある意味、その一つ一つの選択の蓄積が、その人の人生だと言ってもいい。 だから、沢山の選択肢の中から何を選択するか、というのは、大げさに言えば、その都度自分の人生を決めているようなものですよ。 そう言う風に考えると、意識的な選択としての「買い物」は、その人の人間性を知るのに恰好の素材となり得る。というか、「自分は、どんなものを買ってきたか」をチェックすることで、自分自身がどういう人間かが分かる・・・かも知れません。 で、本書『僕の散財日記』は、音楽プロデューサーにしてユーミンのご主人でもある松任谷氏が、自分がその月に何を買ったか、なぜそれを選んだかということをネタに書いた雑誌連載エッセイを集めたもの、なんです。 なにせ多趣味で、かつお洒落な人ですから、松任谷さんが買うものは、何にせよちょっとお高い。まさに「散財」という言葉で表せるようなものばかり。例えば、「エルメスのハンドタオル」とかね。その辺のハンカチと比べたら、よっぽど高い。 だけど、汗っかきの松任谷さんとしては、ハンドタオルは必需品。で、もし汗っかきの人が、安物のタオル地のハンドタオルか何かでごしごし汗を拭いていたら、それはやっぱりちょっとカッコ悪い。 だったら、そこをちょっとお洒落して、ハンカチをエルメスにしたら、気付く人は気づく程度の気取りとして、そこそこ様になるのではないかと。そう考えれば、これ見よがしにエルメスのバッグとかを持ち歩くより、この方がよっぽど洒落ているとは言えないか。 ま、こんな感じで、松任谷さんの買い物には、それぞれ何か理由がある。その理由を語りながら、松任谷さんは松任谷さんの選択を語り、それによって自身を語っている。そういうエッセイですな。 他人が何を買ったかなんてことを読んで面白いの?と思うかも知れませんが、私は割と面白かったです。文庫版もあるようですから、モノにこだわりのある方にはおススメ、と言っておきましょう。これこれ! ↓【楽天ブックスならいつでも送料無料】僕の散財日記 [ 松任谷正隆 ]価格:1,728円(税込、送料込) 次、江藤淳氏の『妻と私』。これも先日、「ブ」で108円で買った奴。 江藤淳・・・まあ私にとっては江頭淳夫(えがしら・あつお)ですけど、その江頭氏が奥さんを亡くされた時の話。雑誌に書き下ろしされたのを本にしたもので、ページ数的には100ページちょいの短いもの。 まあ、何と言っても奥さんが死ぬ話ですから、お気の毒、っていう他ないわけですけれど、奥さんを亡くした本人が「すごく悲しい。あんまり悲し過ぎて、自分も体調崩しちゃった」と書いているので、「お気の毒」以外、何も言えませんよね。 そういう本です。 ところで、江頭氏は奥さんを亡くされた後、1年も経たないうちに自殺されたんですな。ご自身、脳梗塞か何かを発症されて、それを苦に、ということのようですが。それも含めて、まさに「お気の毒」ですね。 まあ、でも、特にこの本を人に勧めようという気にはならなかったかな。 次。玉村豊男著『忙中有閑ときには旅』。これも『僕の散財日記』同様、雑誌連載を本にした奴。 いいな、そのパターン。雑誌連載⇒本になる、っての。そういう仕事、来ないかな。 ま、それはともかく、玉村さんはエッセイストであると同時に、長野県で「ヴィラ・デスト」というワイナリーを経営していらっしゃるわけで、本書はそんな玉村さんの晴耕雨読のライフスタイルといいますか、エッセイを書いたり、農作業をしたり、という日々のあれこれを特にテーマも定めずに文章化したもの。それだけに、気楽に読める反面、特に何も記憶に残らないという。ただ、ひょっとしたら大変なのかも知れないけれども、俺もそんな生活してみたいな~、それでエッセイの注文が来るんなら御の字じゃん、と思う人は思う本です。ちなみに、私はそういう風に思う人なんですが。 玉村さんも、気合の入ったエッセイの時と、そうでない時の脱力エッセイと、その振幅が大きいよね。ファンはどちらも読むけど、ファンじゃない人からしたら、これは食い足りないかも。 ということで、『忙中有閑ときには旅』は、私のような玉村ファンだけにおすすめ、と言っておきましょう。これこれ! ↓【中古】 忙中有閑ときには旅 / 玉村豊男価格:300円(税込、送料別) なんか最近、軽いモノばっかり読んでいるなあ。疲れているのかね。 まあ、マグロみたいなもので、軽いモノでも数読まないと、生きた心地がしないワタクシ。口から入って鰓から抜ける、そんな本も必要なのよね~。