S&Gの「アメリカ」
通勤途中の車内で聴くため、色々なCDをとっかえひっかえ持っていくのですが、今日はたまたまサイモン&ガーファンクルのセントラル・パーク・コンサートのライブ盤を久しぶりに聴いて、やっぱりいいなと。 そういえば、最近、学生に「サイモン&ガーファンクルって知ってる?」って聞いたら、全員が知りませんでしたけどね・・・。 で、私はこの連中の歌の中でも「アメリカ」という曲が好きでね。歌詞は以下の通り。“Let us be lovers we’ll marry our fortunes together”“I’ve got some real estate here in my bag”So we bought a pack of cigarettes and Mrs. Wagner piesAnd we walked off to look for America“Kathy,” I said as we boarded a Greyhound in Pittsburgh“Michigan seems like a dream to me now”It took me four days to hitchhike from SaginawI’ve gone to look for AmericaLaughing on the busPlaying games with the facesShe said the man in the gabardine suit was a spyI said “Be careful his bowtie is really a camera”“Toss me a cigarette, I think there’s one in my raincoat”“We smoked the last one an hour ago”So I looked at the scenery, she read her magazineAnd the moon rose over an open field“Kathy, I’m lost,” I said, though I knew she was sleepingI’m empty and aching and I don’t know whyCounting the cars on the New Jersey TurnpikeThey’ve all gone to look for AmericaAll gone to look for AmericaAll gone to look for America だけど、この曲について、人が色々書いているのを読むと、案外、この曲の意味が解ってないんですよね。特に、最後の場面で、なぜ彼が「I'm lost.」っていうのか、それが分ってなくて、例えば・・「歌詞が比喩するところでは、最初は希望に満ちている恋人たちが、やがて苦悩や悲しみの感覚へと転じていく。」とか、「この歌は1960年代半ばのアメリカ人の喪失感を歌っています。1960年代はそれまでのアメリカ社会が内包していた人種差別やベトナム戦争への介入への不信が浮き彫りになり、多くのアメリカ人が自国の在り方と、それまでの自分の持っていた信条に疑問を感じた時期です。この歌はそうした人々の、アメリカと自分自身の再生する道を見つけたいという気持ちを、グライハウンド・バスに乗って自分の目で確かめ、探したいという若い恋人同士に託して表現しています。」とか、書いてある。 前者は、なぜ彼が苦悩や悲しみの感覚に転じるのか、どうもよく分かってないんじゃないかと思えるし、後者は、時代背景としてはアレですけど、ちょっと考え過ぎかなあ。いずれにせよ、どちらもなんでニュージャージー・ターンパイクのクルマの数を数えながら彼が絶望するのか、その重要なところに触れてない。 それから、冒頭の歌詞を「僕たち恋人同士になろうよ。僕らのたくさんの幸運を結婚させていっしょになろう」と訳されている人がいましたが、「Let us be lovers . . .」という歌詞を見る限り、二人はそもそも恋人同士ではないな。それにこの二人は結婚する気なんかない。「We will marry our fortunes together. . .」というのは、「二人それぞれが持っている持ち金を合わせよう」と言っているだけで、将来の結婚のことなんか一言も言ってない。 まあ、ネットを見ていると、面白い解釈が一杯出てきます。 人文系の学問が軽んじられる今日ですが、これほど簡単な歌詞の意味が通じないというのは、どうかと思いますね。やっぱり文学教育って、重要なんじゃないの?