映画『パッセンジャー』を観た
WOWOWでやっていたのを録画しておいた『パッセンジャー』という映画、昨日、観ちゃいましたので、ちょいと心覚えを。以下、ネタバレ注意ということで。 地球から遠く離れた星への移住を希望する5000人もの人を乗せたアヴァロン号が宇宙を航行している図から映画は始まるのですが、そこでいきなり隕石群と遭遇! 一応、宇宙船はシールドで守られてはいるのですが、想定外の巨大な隕石と衝突してしまい、船の一部にダメージを負ってしまうんですな。 そしてそのダメージの影響か、冬眠状態で眠っていたジムのポッドが開いてしまい、5000人の乗客の中でただ一人だけ目覚めてしまうんです。 この移住計画では、地球からその星までの旅程が120年。だから乗客は120年間冬眠して、到着の3カ月ほど前に自動的に起きることになっていたんですな。だけどジムだけは、突発的な故障により一人だけ起きてしまった。まだ地球を離れてから30年しか経っていなかったので、あと90年間、船内で一人で居なければならない。 それに気づいたジムはすぐに地球に連絡して対処法を尋ねようとするのですが、なにしろ光速の半分のスピードですでに30年間飛んでいますから、地球にジムのメッセージが届くまでに15年かかる。そしてその返事がジムの元に届くまでにまた数十年。それでは間に合わない。 要するに、彼は死ぬまで独りぼっちということが決定したわけね。 広く豪華な船内に、話し相手はアンドロイドのバーテンダー、アーサーただ一人。このままたった一人で数十年暮らし、死んでいくんだと考えたら、もう絶望しかない。とりあえず1年間は一人で頑張ってみたけれど、そこで限界が来る。 で、ジムはさんざん悩んだ末、もう一人、船内のポッドで冬眠していたある美しい女性を起こすことにします。で、ポッドをわざと故障させてしまう。 で、そうとは知らずにジムに起こされてしまった女性・オーロラは、当初、1年前のジムと同じ反応を示します。とにかく、どうにかならないか、ありとあらゆる手段を講じようとするわけ。しかし、最終的にはジムが到達したのと同様の結論に至る:どうにもならないと。 かくして、過酷な運命を二人で耐えなくてはならなくなったジムとオーロラは、必然的に仲良くなり、恋に落ち、そしてついに結婚したいと思うようになる。で、ジムは船内から適当にくすねてきた指輪を用意して、オーロラへのプロポーズを計画・・・ が! オーロラを起こすかどうかでさんざん悩んでいた時期、ジムの相談相手になっていたアンドロイド・バーテンダーのアーサーが、オーロラに、彼女を起こしたのはジムであることを漏らしてしまうんですな。もちろん、ジムはアーサーに「このことは秘密に」と言ってあったのですが、オーロラと恋仲になるにつれ、うっかり「二人の間に秘密はない」とアーサーに宣言してしまったもので。 で、そのことを知ったオーロラは激怒します。親しい友人たちとの絆を切ってまで他の星への移住という冒険を計画し、さらにはもう一度地球に戻って、かの星の暮らしぶりを報告しようと計画していたオーロラの夢は、すべてジムによって奪われた――そのことを知ってしまった以上、オーロラにとってジムは憎むべき不倶戴天の敵でしかない。 船内に二人しかいないのに、その二人が決定的に決裂するという、最悪の事態が起こったわけ。 しかし、そんな中、宇宙船アヴァロン号の様子がおかしくなり始めます。どうやら、2年前の隕石との衝突で生じた欠損が、いよいよ悪化してしまったんです。このままではジムとオーロラはもちろんのこと、5000人の乗客と200人以上のクルーの命は宇宙の藻屑と消えることになることは必至。 さて、ジムとオーロラは、この事態にどう対処するのか? そして二人の運命は? ・・・みたいな話。 で、先にこの映画への私の点数を言っておくと・・・ 「80点」です! 結構面白い! あのね、この映画、まず設定がいいです。冬眠から一人目ざめてしまい、あとは一生一人で居るしかないという状況。すぐそばに5000人の人が居るのに、それでもやっぱり独りぼっち。文字通り「群衆の中の孤独」というシチュエーション、これはかなりオリジナルなのではないかと。 そして、豪華な船内をこの先、自分が死ぬまで独り占めできるというシチュエーション。これも素晴らしい。このブログでも何度も言ってますけど、私の夢って、深夜のデパートを借り切って、一人で買い物をするというものですからね。まさに、それじゃん。 あと、話し相手のアーサーがいいんだなあ。ジムとアーサーが会話するシーンってのは、要するにアレですよ、映画『シャイニング』へのオマージュですよ。 そして、この映画の決め台詞の一つであるオーロラの「You die, I die!」というのは、これまた映画『タイタニック』(You jump, I jump!)に対するオマージュね。 さらに宇宙船アヴァロンが、船体を回転させることで重力を発生させているという前提は、『2001年宇宙の旅』へのオマージュでもある。 そういう風に細かく見ていくとなかなか凝っているわけですな。 もちろん、突っ込みどころはあちこちにあります。地球からそんなに遠く離れた星に移住するのはいいとして、先に向こうにいった連中がどうなったのか、その答えはまだ地球に届いていないはず。それなのにどんどん移住者を送り込んで大丈夫なのか? とか。あと、いくら「私、壊れないので」という自信があるにしても、万が一、冬眠ポッドが故障したときの備えをしてしてなかったのか? とか。 でも、そうした疑問をあまり深く意識させないほど、テンポよく映画は進行するんですわ。だから、飽きるということがない。 そういう意味で、ここ数年で見た宇宙モノの中では案外これが一番面白かったのではないかと。少なくとも『ゼロ・グラビティ』とか『オデッセイ』より好き。あと題名がちょっと似ている『メッセージ』よりはるかに好き。 ということで、大傑作ということではありませんが、2時間何も考えず映画に没入できるという点で、この映画、ちょっとおすすめしておきましょう。パッセンジャー 【DVD】