名曲「He Ain't Heavy, He's My Brother」をめぐる大誤解
すっかり懐メロの人になってしまったワタクシ、一仕事の後は、60年代、70年代のポップス&ロックで息抜きをしております。 で、昨日聞いていたのは「ザ・ホリーズ」の「He Ain't Heavy, He's My Brother」という曲。まあ、いい曲だから一度聞いてみてちょ。これこれ! ↓ザ・ホリーズ「He Ain't Heavy, He's My Brother」 ところで。 上のサイトでこの曲を視聴すると、誰だって「ああ、これはベトナム戦争の歌なんだ・・・」って思うじゃない? つまり、戦闘で負傷した戦友を担いで、自軍の陣地まで戻る話なんだって。そう思うよね? で、私もすっかりそう信じ込んで、「ベトナム戦争って、もちろん色々問題はあるけれども、少なくとも兵隊となった若者たちも含め、若者の間から反戦の歌や反戦の文学・映画が数々出たことも事実。そういうストーリーっていうのは、後から戦争の本質を考える上で重要な視点になるのであって、果たして今回のウクライナ戦争って、そういうものが後で出てくることってあるのかな?」なんて考えちゃったわけ。 だけど・・・。 ン? 待てよ? これ歌っている「ザ・ホリーズ」って、イギリスのバンドじゃね? ベトナム戦争とあんまし関係なくね? で、調べてみたら、あーた、この歌はベトナム戦争とはなんの関係もござんせんでした。 むしろね、ワタクシの専門の「自己啓発思想」と関係があるんだなあ。 つまり「He Ain't Heavy, He's My Brother」というのは、自己啓発思想なのよ。実際には非常に重いものであっても、それが自分の弟だと思えば、軽く感じると。要は、心の持ちようで、重いものも軽くなる。愛する者のための労働なら、苦労も苦労と感じない。おかあちゃんのためなら、えーんやこらだと。 元々は、スコットランドだかどこだかで、誰だったかが小さな女の子が自分と同じくらいの大きさの弟を抱えているのを見かけて、「重くない?」って話かけたら、「ううん、ちっとも! だってこの子、私の弟なんだもの!」って言ったのに感動して、そういう詩を書いたと。それが自己啓発文学の中で語り継がれたらしいんだなあ。例えば、著名な自己啓発本ライターである、ラルフ・ウォルドー・トラインの本の中にも、この挿話が出てくるらしい。 なるほど~。 そんな自己啓発思想を、もう少しでベトナム反戦歌だと勘違いするところであった・・・いや、勘違いさせるためにザ・ホリーズはこういう歌を歌ったのかもしれないけれども。 ま、そんなこんながちょっと面白かったワタクシなのでありました。