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カテゴリ:教授の雑感
今日も今日とて原稿書き。今書いているのは、19世紀後半のアメリカの大衆作家、ホレイショ・アルジャーについての解説。
ホレイショ・アルジャーというのは、貧しい少年が運をつかみ、金持ちになり上がっていく少年向け小説を山ほど書いた人で、その意味で、自己啓発的な作家なんですが、その作品が広範に読まれた割に謎に包まれた作家であり、生い立ちや晩年のことなど、分からないことが多い。若い頃は牧師をしていたのですが、少年愛者でもあって、ちょっとしたスキャンダルを引き起こしたこともある。そんなこともあって、その生涯の来し方は意図的に抹消されたんですな。 さて、それはともかく、19世紀後半のアメリカ社会の在り様について研究されてきた大井浩二先生という方がいらっしゃって、そのご専門からホレイショ・アルジャーについてもあちこちで論じていらっしゃる。で、それを読むと、大井先生は、ホレイショ・アルジャーは、金持ちになる野心を称揚したのではなく、あくまで正直さとか親切とか勇気とか、そういう倫理的なことをアメリカの少年たちに植え付けようとしたのだと、そういう論調なわけ。出世するなら、リンカン大統領みたいな形で出世しろと。 19世紀後半のアメリカ社会は、金めっき時代の悪弊に汚れていた。ホレイショ・アルジャーはそうしたことに対して戦ったのだと。 なるほど。そうかもね。 だけど、私の見立ては、それとはちょっと違うんだなあ。ホレイショ・アルジャーには、やっぱり、金めっき的な上昇思考があったと思いますよ。 ただ、その目指すところが、当時の他の自己啓発作家とはちょっと違う。そこが面白いと思うんですよね。 では、どこが違うのか。 それはここでは言わないよ~! それを今、原稿として書いているんだから。 っつーわけで、大御所の先生とはちょっと異なる観点を提出してやろうと思っている次第。そりゃ、大御所と同じことを言うのでは、後進として元気がなさすぎるよね! 後進は先輩を乗り越えなきゃ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 5, 2024 09:23:04 PM
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