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テーマ:暮らしを楽しむ(388210)
カテゴリ:教授の雑感
昨日も書きましたが、日髙敏隆先生の『ぼくの世界博物誌』(集英社文庫)を楽しみながら、舐めるように読んでおります。
で、この中に今から60年ほど前、日髙先生がフランスに滞在しておられた時のことが書かれていて、当時のフランスというのは、天国みたいなところだったんだなと。 で、フランスのことを読んでいたせいか、引き寄せの法則が生じまして、昨夜、何の気なしにテレビを見ていたら、NHKで「世界居酒屋紀行」(タイトルは不正確)みたいな番組をやっていた。世界中の居酒屋を尋ねて、そこを視点にそれぞれの地域の特色というか、文化を見ていこうという趣旨の番組なんですな。 で、昨夜の回では、ちょうどフランスのとある町の居酒屋が取材されていたのよ。 で、陽気で酒好きな店主が営むその居酒屋は、いつも客で一杯で、その客たちと一緒に店主もビールを飲みまくっていた。その店で出す料理というか、酒のアテがやたらに美味しそうでね。 例えば田舎風パテにソーセージに生ハム。そういうのが皿に山盛りになった「肉盛りセット」がある。で、フランスの連中は、そういうものにバターをたっぷり乗せて食べるのよ。ソーセージにもバター、パテにもバター。「バターを塗る」のではなく、バターの塊をそれらに乗せて食べる。 で、取材班が、「これはカロリーが多そうですね」などと話を仕向けると、「ん? カロリーとは何ぞや?」などとふざけて返事をする。カロリーなんか気にして人生を渡って行けるか、ってなもんです。 あと美味しそうだったのは、マテ貝のソテーね。多分、たっぷりのバターでソテーしてあるのでしょう、貝から出るエキスと溶けたバターが一緒になって、とてもおいしそうだった。 で、そんな料理を客たちに振る舞いながら、店主も酒を飲む飲む。 そこへ、店主の奥さん登場。なにやら店主に告げ、自分でも生ビールを注いでもらって、すぐに店を出ていった。 で、その奥さんを取材班が追いかけて行って、「あなたの旦那さんは、ちょっとビールの飲みすぎじゃないですか?」と尋ねたわけ。 これが日本だったら、この奥さんはどういう返事をしますかね? 多分、「そうなんですよ、困っているんです」とか、そんな返事が返ってきそうじゃないですか? しかし、フランスでは違った。この奥さん、「夫が飲みすぎと思うかどうか、私は尋ねられているの?」と確認したのち、こう言い放った。「いえ、彼は自由なのだから、彼には好きなだけ酒を飲む権利があるわ」と。 それを聞いて、私はうーん!と唸りました。そうか、と。 これがフランスか! これがフラン人の「自由」概念なのか。 すごいね。自由というものの考え方が、日本人とは全然違う。夫婦の関係であろうと、互いの自由を絶対に侵さないという姿勢。 いやはや。日髙先生のエッセイを読んだおかげで、私はフランス人が自由というものをどうとらえているかを、偶然、学ぶこととなったのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 14, 2024 03:51:33 PM
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