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深夜に跨る仕事について居た時のことでした。
連日忙しさに追われて、仕事を終えるのは時に午前4時、それよりもなお後刻に上がることもありました。 その日は午前2時ころ、上がれる状況と見極め、徒歩5分ほどの所の駐車場へ車を回すのに向かっておりました。 誰も歩いておりません、そんな時間に歩いて居る者もないでしょう、あるのがおかしい時間です。 以前には、それでも人が歩いていたものです。右下がりの日本経済の中、まだ人が動いていたころには、人が歩いて居て当たり前の時間でしたが、右下がりが酷くなり、既に人影はありません。 疲れた体を移動していると、足音が追いかけてきました。あれっ?!振り向きました、人影はありません。足音も止まりました。 連れ合いである店のオーナーを乗せて、家路に着くための行動中のこととて、妙なことに巻き込まれるのは困ります。 何もないと見極めて、また歩きます。 と、また足音が追いかけます、暫く振り向きもせず、気味の悪い思いをしながら一心に歩きます。足音は等間隔をおいて付いてきます。 徐々に急ぎ足になり、何とか駐車場へ辿り着き、ようやく振り向きました。何事もなく静まりかえって居ます。 そう言えば、昔々どこかで聞いた記憶がよみがえりました。「空耳頭巾」の話。でもよくは知らないんですよこの話。つまり単なる連想、そこで、空耳か?と思ったのでした。 更に連想が飛んで、「足音擬」、そう、妖怪足音擬! 静まり返った深夜、独り歩きの人間についてきて、足音を立てる、と言うより足音を真似る、歩いている人の足音を真似る、しっかりまねができたらそれを盗む、更に進むと足音を取って行くんだと・・・。 あの時、同じほどで歩き続けて居たら、そしてもう少し長く歩いて居たら・・・足音を無くしていたか?ぞぞぞ~! それ以来、深夜の独り歩きには、歩きを止めて駆け出すことになりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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