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January 20, 2005
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最近読書熱が高じてきた。昔はあまり本を読むほうじゃなかったのに、フシギだな・・・。卒論の息抜きで、冬休みはいろいろな本に手を出した。ツイアビの酋長が初めてヨーロッパの文明を見たときの演説集「パパラギ」、遠藤周作訳、モーリヤック「テレーズ・デスケルウ」、大橋「はじめての構造主義」、太宰治「斜陽」、遠藤周作「彼の生きかた」、ゴンブロヴィッチの「トランス=アトランティック」(途中)、姜尚中とテッサ・モーリス=スズキの対談「デモクラシーの冒険」(これもまだ途中)。

暇があったらちょっとずつ感想を書いていこうと思ってるんだけど、今日はジョージ・オーウェルの「1984年」を。長いです。

聞いてた通り、怖い小説だった~(>_<)夢に出てくるかと思ったくらい!全体主義社会の反ユートピア小説って言われるけど、まさに。

テレスクリーンという機械で自分の日常全てが監視される社会。少しでも異端な行動、思想を示せば直ちにその人物は思想警察により社会的に抹殺される。歴史というものは存在せず、常に事実は改変される。党の言うことが絶対的に正しく、それが真実となる社会。戦争は侵略が目的ではなく、過剰な生産品を消費するための手段であり、社会構造を温存させるための手段である。常に敵は存在し、しかし勝利もなく敗北もない。誰と戦っているのかはむしろ重要ではなく、継続性が問題である。感動や愛などの人間的な感情は存在せず、恐怖と憎悪によって成り立つ、「ビッグ・ブラザー」の支配する世界。

しかもこの小説、読めば読むほど絶望。

ここから先はネタバレになっちゃうので、最期を知りたくない方は↓読まないでね。

全体主義支配に何かがおかしいと感じている主人公はまともな感情の持ち主。でもそんな「まとも」な感情は既にその社会においては「異端」であって、「精神を病んでいる」とされてしまう。そんな「精神異常者」は徹底的に「教育」されねばならない。ただ一人の「精神異常者」をほっておくことも許されない。その精神を「正常」にするために、見るに耐えない(読むに耐えられない)拷問の中で「教育」されていく主人公…。彼はもちろん抵抗した。しかし彼はとうとう最後に「自分は間違っていた」と悟る。彼は拷問に耐えかね、自分の意見を曲げる、というように権力に対して「屈服」したのでは決してない。「間違っていた」ことを悟るのだ。そして、「間違っていた」自分を治してくれた「ビッグブラザー」に対して彼は心の底から感謝してしまう・・・・。


アーレントの全体主義の起源を読むと、そこに書かれているものがこのオーウェルの小説に反映されてるのでは、と思えてくる。アーレントは「全体主義運動の中では人間の本性が変わる」と言った。運動に身を委ねることによって、自分の命はもはや重要でなくなり、死をも恐れなくなる。運動に参加している、ということだけが重要になる。かつて私はそれが理解できなかった。どんな状況にあろうと、人間は本能的には死を恐れるはずだ。その本能を変えるなんて、ありえない!でもこの小説を読むと、それがわかる気がする。

あと、この小説に描かれる社会の基本原則となる「二重思考」には考えさせられてしまった。「一つの精神が掃除に相矛盾する二つの信条を持ち、その両方とも受け入れられる能力」。「2+2=5」が間違っていると知っていながら、同時に「2+2=5」を真実だと心から信じることのできる人。それができる人でなくては全体主義の社会で生きることはできない。主人公はこれができないために思想犯としてつかまったが、「教育」され、見事にこれを身に付けた。こう言ってしまうと「そんなのありえない」って思うんだけど…。これ、意外と日常的にある気がする。そのことが間違ってると知っていながらそれをすることに何の疑問を持たない…。もしかしたら、自分も?

あえて、例はあげないけど…。オーウェル、スゴイ。





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Last updated  January 20, 2005 11:04:05 PM
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KUMAKKO7648@ Re:かなり久しぶりのコメント。(08/06) spring breezeさん コメントありがとうご…
spring breeze@ かなり久しぶりのコメント。 お久しぶりです。 お仕事お疲れ様です☆ …
KUMAKKO7648@ Re[1]:もうひとつの世界(04/10) かなさん ありがと、大丈夫だよー☆ 先週…
かな@ Re:もうひとつの世界(04/10) 社会人生活、忙しいのかな。 無理してな…
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