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カテゴリ:BARナンセンス
俺様はブルゴーニュグラス。腰にたっぷりとした丸みをたたえ、口が多少細まっているのはピノノワール特有の花の香りを閉じこめるためだ。
そう、俺様はブルゴーニュグラス。安酒は似合わねえ。俺様に注がれるべきはせめて村名がついた高級ワイン。 それに比べて、お隣のシャブリグラス君たちのなんと貧相なことか。 我こそはとピカピカに光りを放って姿勢正しく出番を待っている姿が哀れを誘うね。
さあて、今夜はどんな客が来るのだろう。久しぶりにリシュブールやロマネコの華やかな香りを味わいたいものだが・・・。 いらっしゃいませ。 「ここは僕がよく来るワインバーだよ、さ、座って座って」 「まあ、すてきなお店~、さすが先生、舞子まいっちんぐぅ」 「でしょでしょ、僕はワインの高貴な香りを愛しているからねえ、あ、もちろん舞ちゃんのことはもっと愛してるよんっ」 「もう先生ったら、舞子うれしゅぅいっしゅっ」 ああ、典型的な同伴だね。だいたいキャバ嬢から先生なんて呼ばれる輩は政治家か弁護士か医者か、いずれにしてもろくなやつではない。まあ、いいや、こんな時はたいていシャンパンだから俺様の出番はなさそうだ。ほら、シャンパングラスのバカ女どもはみんな自分が選ばれたくないものだから戦々恐々と乱反射しているぜ。あはははは。
「じゃ、ソムリエ君、僕はこってりしたボルドー」 「舞子ってばワインってよくわかんないしぃ、ほら、舞子ってぇ、赤とかって苦手なタイプじゃない?」 「じゃあ、彼女にはシャブリね、グランクリュクラスで」 おっ、大先生は予想に反してボルドーときたか。これであのいけ好かないエロオヤジの口に触れられる危険は去ったってわけだ。一方、ボルドーグラスのやつらはいきなり顔を曇らせてやがる。ふふふ、いい気味、いい気味。 シャブリグラス君、いってらっしゃーい、ちょっとうらやましいなあ。 それでお次のボルドーグラスは誰が選ばれるんだ? んっ、おいソムリエ、ちょっと待てよ。おいらはブルゴーニュグラスだってばよ。何でおいらをつかむわけ?何、その気まぐれ、頼む、頼むよ、やめてくれよぅ。 トクトクトク・・・ あ、でもこの香りってば官能~っ!こりゃなかなか良いワインだぞ、この優しさはサンテミリオンだべ。おおぅ、しっとりとしたタンニンの肌触りにメルローのふくよかな果実味、超気持ちいいーっ。 で、でも、ちょっと待てっ、オヤジ、その脂ぎった手で俺様の腰を触るんじゃねえ、この官能をぶちこわすんじゃねえ。 ああ、薄汚い鼻毛が近づいてきたぞ。嗅ぐな、嗅ぐな、やめてくれ。オヤジっ、鼻息がくせーよ。勘弁してくれようぅ。 そして、ついに・・・ ぼでっと厚く卑猥くちびるが、俺様のくちびるに、びちょっと。
おえっ、気色わるっ、ブルブルブルッ げほっ、げほっ、げほっ、お願いだあ、誰か助けてくれ~っ!
ブルゴーニュグラス君、ご愁傷様でした。一方、可憐なキャバ嬢にしゃぶられるシャブリグラス君はどんな気持ちかって?それはとてもここでは書けませんよ。エロオヤジのみなさん、ご自分で妄想してみてくださいね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年03月05日 19時49分35秒
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