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カテゴリ:メルトダウン
左隣には、女性二人客が、フルーツカクテルだの飲みやすいワインだのを頼みながらおしゃべりしてる。
その奥にはカップルがいて、男の方は何度か隣で話したことがある奴で、普段はもっと生臭い奴なんだが、今夜はすでにものにした相手といるせいかいつもより和んでいるようだ。 右には酔っ払って語りたいオヤジがバーテンダーにしきりに話しかける。 僕はといえば、一人で絵を描いている。 仕事をしている時には、よけいな無駄話に誘われないようにバリアをはっていたり、的外れな電話の問い合わせにいらいらしたり、他人に対してストレスを感じることが多いのだが、BARのカウンターではそんな雑音がむしろ心地よくてウエイティングバー・アヴァンティの会話のように聞き耳をたてたくなるのだ。 自分がナマコだとしたら、左隣は貝でその奥は蟹で右隣は海老かな・・・同じ海水の中で自然にその存在を容認して共生していく関係。 全然関係ないんだけれども、プラナリアって生き物知ってる? 田んぼや沼にいるコンニャク様の小さなナメクジのような生き物なんだけれども、カッターで切り刻むと、その破片の一個一個が新たなプラナリアに成長するんだそうだ。頭には一対の眼があって、バラバラにしてもそれぞれにまた一対の眼ができる。 すげー奴がいるもんだ。 この間、NHKの番組でナマコの専門家の番組があった。ナマコもすげー奴らしい。 触っているとだんだん硬くなって、さらに触っていると今度はだんだん軟らかくなって穴があいて引きちぎれて、中の内臓がだらだらとこぼれ落ちてスプラッタームービーばりの気持ち悪い物体になるのだが、それを放っておけばまた内臓ができて完全なナマコに戻るのだそうだ。 まさに化け物である。 水の中に生きている奴らはすげー。 そんなことを考えながら、深海のようなBARでひとり飲んでいたのである。磯に住む生き物たち、なんてタイトルがつきそうな夜かも。 二日酔いでも、また夜になれば再生するのだなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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