BARで描く絵日記

　雨の日に、傘を打つ軽やかな音符にうきうきしながらBARに向かう。友人たちの言葉は弦楽器だったり管楽器だったり、うまい酒に舌鼓を打ち、ティンパニにような笑いも加わり、とても楽しかった。

　ひとつの主題が様々に展開し、華やかなフィナーレを迎える。

　ふと気付くと一人、最後にもう一杯飲んで帰ろうと思う。これは一種の第二楽章なのかな。葬送行進曲ではないけれども、さっきのにぎやかさの余韻を感じながら、しっとりとモルトを奏でる。

　帰り道では、雨はより強くなっており、防水不十分な革靴から浸みた水がつま先を濡らす。

　雨はうっとうしいけれども、街灯に照らされた水面をにぎわす雨粒の同心円はロンドだ。踊る、踊る、傘を回せ、くるくる回せ。

　こんな雨の夜も、やっぱり潤と散歩する。

　雨だから、庭のまわりだけにしようぜ。

　これは第４楽章なのだろうか、それともこれから見る夢が第４楽章なのだろうか・・・。このほろ酔い気分のまま人生を終えることができるのならば、なんの不満もないな、そんな不満のない夜をまた何度か迎えたいとも思っている。

　いや、

　今夜の気分は交響曲ではなくて、どっちかっていうとピアノ４重奏の方が近いかもな。