變臉〈へんめん〉　この櫂に手をそえて

2008.09.08

變臉〈へんめん〉　この櫂に手をそえて

(2)

テーマ：ＴＶで観た映画(3920)

カテゴリ：芸能

かなり前、深夜放送されて
録画した映画なんだけど
実はタイトルに興味がなくて
ず～っと放っといた。

ところが、ＨＤＤが
一杯になってまって
まんだ観とらん映画を
ＤＶＤに落とすかｏｒ
削除するしかなくなって
まった。

その内の一つが、この映画だったんだけど・・・・

泣けたよ～　

ストーリー　ネタばれ注意

　今世紀初頭。混乱期の中国。
　　　　　　　　　　へんめん
　船の上で暮すワンは “變臉" と呼ばれる技で、各地を
　放浪する大道芸人で、口上を述べながら一瞬のうちに
　仮面の早変わりを行う名手で、「變臉王」と呼ばれている。

　變臉の技は、門外不出で、男の弟子にしか伝えることを
　許されていない。

　妻子を亡くし、天涯孤独な老人には、「将軍」という名の
　猿だけが道連れだった。

　四川省京劇（川劇＝せんげき）の人気女形で「人観音」
　と呼ばれているリャンに、變臉の技の後継者を早く見つけ
　るよう勧められた。

　ワンはひょんなことから、貧しい家庭で売りに出された
　男の子を買った。

　彼はその子をクーワーと名付けた。

　ワンは後継者となるクーワーに深い愛情を注いだが、
　実はクーワーは女の子だった。

　それに気づいたワンは彼女を追い払おうとするが
　行き場がないと懇願され、結局軽業を仕込んで
　一緒に旅して回ることに。

　ある夜、クーワーはワンがいない隙に、変面の練習を
　していたら、変面にロウソクの火が燃え移り、船が
　全焼してしまった。

　クーワーはワンに顔向けができず、町を放浪していると
　人さらいにさらわれてしまった。

　そこで、誘拐された男の子、ティエンシーに遭遇する。

　彼女はティエンシーが裕福な家庭の子で、誘拐されたとは
　解らず、ティエンシーと共に脱走し、ワンのもとへ連れて
　帰った。

　ワンは喜び、彼を可愛がった。

　が、ある日警察がワンの船にやって来て、ワンの訴えも
　虚しく、彼は誘拐犯として逮捕されて裁判に。

　半狂乱のクーワーは一計を案じて、ワンを刑務所から救出。

　かくして、二人の旅は続くのだった。

クーワー役チョウ・レンインは、スゴイ

映画の中では、７～８歳という設定らしいけど、上手いを超越しとるよ

人身売買窟で、ワンに買ってもらいた
いがために、ワンを真っ直ぐに見つめる目。

嘘がばれ、ワンに捨てられまいと
必死に追いすがる演技。

特に、自分の不注意で船が全焼してしまい、木陰から変面王の
落胆ぶりを見て、自責の念と、もう一緒にいられないんだという
悲しみで、泣き叫びたいはずなのに、我慢して自分の手で声を
押し殺して嗚咽する迫真の演技には、アタシは泣けてきたも

監督の呉天明（ウー・ティエンミン）は
子役チョウ・レンインについてこう語っています。

あの子の生い立ちそのものが親の愛を知らずに育っていて
クーワーの設定と似通っていたのです。

彼女はそのうえ、４歳のときから雑技団に入って、師匠
からたいへん厳しく芸を仕込まれています。

体を鞭打たれながら教わっているんですね。

ですから、まわりの大人たちの顔色を見るようになり
まわりにたくさん人がいるときは、だれが一番の権力者
なのかを見極めて行動する、というような習性が身に
ついてしまっているのです。

そのあたりが、幸せな生活を送っている子役たちとは
目つき、表情からして違うんです。

彼女の場合、いつも目の中に人間にたいする不信感、
恐怖感、何かの期待感、愛の飢えなどが現れているのです。
ずるさというのもその中に出ています。
助けを求める気持ちも出ています。
そういう目の色はふつうの子には絶対出せないものです。

　　　　　　　　　　（シネ・フロント246号より）

ウー・ティエンミン監督は、かつて「古井戸」(1987)
という映画の監督もやっていたんですねぇ。

この「古井戸」の主演が、な、なんと

　
北京オリンピック開会式の演出をやった
チャン・イーモウだってことを初めて知ったよ

変面王を演じた朱旭（チュウ・シュイ）

変面というのは、観衆の前で、顔を振ったり、
手を顔の前で振ったりするだけで
布製の仮面を目にも止まらぬ速さで次々と変えて行く芸です。

チュウ・シュイは、実際に変面の芸人について
１ヶ月間特訓をしたんだってサ。

映画を見る限り、１ヶ月の付け焼刃には見えないよ。

　キャスト＆スタッフ

　　監督：　呉天明（ウー・ティエンミン）

　　原作：　陳文貴（チェン・ウェングイ）

　　出演：　變臉王ワン＝朱旭（チュウ・シュイ）

　　　　　　クーワー＝周任瑩（チョウ・レンイン）

　　　　　　京劇女形リャン＝趙志剛（チャオ・チーカン）
　
　　　　　　ティエンシー＝張瑞陽（チャン・ルイヤン）

　　1996年 / 中国＝香港

機会があったら、一度はご覧になってみてネ