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October 7, 2004
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日本時間の金曜日夜7時に配信していただいたメルマガ「出たきり邦人」の連載第13回です。

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【出たっきり邦人 北米・オセアニア編】282アメリカ
〓アメリカ・ミシガン発〓第13回★フードバンクと貧困と

大統領選挙まであと3週間少々となった。ミシガン州は17票もの選挙票を持ち、しかも保守基盤のはずなのに‘92年、’96年、2000年と過去3回の大統領選挙では民主党候補が勝っているし、現州知事も民主党という状況。浮動州と目されているため両候補ともしげしげ遊説に訪れている。

両陣営の選挙活動や、投票をしようと呼びかけるキャンペーンも日毎に活発さを増していて、クラスでは民主党のサポーター缶バッチを必ず毎日つけてくる学生もいるし、クラスのメーリングリストを通じて「10月4日が投票登録締めきり。忘れないで!!」といったメッセージも送られてきた。留学生の私にも、「Pupaはアメリカ市民じゃないの?」とクラスメート達が入れ代わり立ち代わり聞いてくる。選挙権があるなら投票登録は済ませたか?と言いたいらしい。

先週は、精力的に反ブッシュ再選キャンペーンを張っているマイケル・ムーアがここの大学にも現れ、3000人収容の講堂に溢れかえった学生に向かって盛大にブッシュ政権批判と選挙への参加、そしてケリーへの投票を呼びかけた。一方会場の外には共和党を支持する学生達が「Four More Years」の看板を掲げて集まり、騒然としていた。

そうしたら、今週になってから共和党ミシガン支部が、ムーアの講演は選挙法に違反しているとしてこのあたりの郡検察に訴え出たため、またまた騒ぎになった。共和党事務所の申し立てはムーアが講演の中で聴衆に対し民主党への投票を強要したというものだが、ちなみに地元紙の報道によれば、今日現在のところ、訴えが出された4郡の検察の中で立件に踏み切った検察官はいないそうな。

日本でも詳しく報じられているように、大統領選の争点は多岐にわたる。全米ネットワーク局のひとつ、NBCの分類を一例に挙げると、「中絶」「財政」「死刑」「経済」「教育」「エネルギー」「環境」「外交」「同性愛」「銃規制」「医療保障」「国土安全保障」「移民」「イラク」「宗教」「社会保障」「貿易」(アルファベット順)と大きなものだけでも17項目にわたる。

今週火曜日に、お隣オハイオ州のクリーブランドで行われた副大統領候補討論会ではイラク問題が争点の最前面に出てきた感が強かったが、もともとは、私の周囲のアメリカ人たちにしてもメディアにしても、国内の経済問題の方をより直接的な争点として扱ってきている。みんな失業率の推移や不景気に伴う会社や組織のドラスティックな予算削減の影響などを心配したり憂いたりしているわけだが、ケリー陣営は現政権批難の根拠のひとつとして、ブッシュ政権になってから再び落ち込んだ貧困問題をあげている。

U.S. Census局によれば、現在アメリカで貧困層に属する人は全人口の12.1%にのぼる。1960年代と比較すると半分以下にまで減っているのだが、2001年のITバブル崩壊以降、再び数値は上昇傾向にある。とはいえ、国勢調査でも現れてくるように、アメリカの北部と東部は比較的裕福だとされ、ミシガンも経済的に豊かな州のひとつとされている。また、留学生としてここに暮らす私の行動範囲には自ずと限界があることもあって、自分自身の普段の生活の中では、この社会の貧困問題に直面することは実際のところあまりなかった。ただ同じ州内でも地域によって大きな差があって、お隣町のフリントやミシガン一の都市デトロイトでは、貧困はコミュニティの深刻な問題のひとつである。

大統領選挙を眺めつつ、そんな社会問題を漠然と認識している中、今学期大学院で履修している「国際開発と持続可能性」のクラスのフィールドトリップで、“フードバンク”を訪問することになった。

フードバンクというのは、簡単に言うと、寄付で集められてくる余剰食料品を、貧しいために食料が買えない世帯に再分配していこうというシステム。今回見学させていただいたのは、赤十字がやっているAmerican Second Harvest という全国組織の中部ミシガンセンターだが、他にも同様にフードバンクという名でミシガンローカルレベルの組織もある。郡や州などの行政がやっているプログラムにもフードバンクという名がついている場合もあるが、たいていの場合はNGOである。日本にも同名の組織が同様の活動をしていると聞いている。

2年前に住んでいたアパート周辺のコミュニティでは、近くの教会が各家庭の余剰食料を集めてフードバンクへ寄付する活動をやっていた。半年に一度くらいはチラシが回ってきて、『○月○日に余剰食品を回収します。出していただけるものがあるようでしたら、紙袋などに入れて△△へ置いておいてください』と知らせてくれる。あわせて、こういうものはいいとか、消費期限が切れたものを出さないように気をつけて、などいくつか但し書きが添えてあるので、それにしたがって、スーパーの特売で大量に買ったけどなかなか食べる機会がないコーンの缶詰とか、人にもらったけど味が好きになれずしまってあった果物の缶詰、実は嫌いで飲めない缶トマトジュースや開けないままになっているピクルスの瓶詰めなどなどを食料棚からひっぱりだし、袋に詰めて指定場所に積み上げておいたものだ。

そういうコミュニティ単位で各家庭から回収されて寄付される食料は量としては微々たるものだが、この他にスーパーマーケットや食料品メーカーが大口寄贈者としてプログラムに参加している。ミシガンの場合はローカルスーパーマーケットチェーンのマイヤー社などが定期的な大口寄贈者だし、今は全国レベルの寄贈者になったコーンフレークのケロッグ社も、もともとはミシガンのフードバンクに協力をし始めたのがプログラム参加の経緯だったという。

見学させていただいたフードバンクの配送センターは、朝は6時に作業が始まる。フードバンクのトラックが、前日までに電話のあった寄贈者のところから食料を受け取ってセンターに戻ってくる。まずは搬入口につながる大きな部屋に食料を運び込み、何らかの汚染がないかどうか、ネズミなどが紛れ込んでいないか点検する。その後、食料は順に次の部屋に運び込まれ、種類ごと、商品ごと、形態ごとに分類され、包装が破損しているものは補修され、穀物類は小口に袋詰めされて、所定の場所に収められていく。センターにはマイナス20度の巨大な冷蔵室もあって、冷蔵保存の必要なものも対応可能になっていた。

これらの作業はほとんどボランティアによってまかなわれている。センターに専属で雇用されているスタッフはほんの5人ほどだから、それ以外の作業は、集荷トラックのドライバーから分類作業に携わる人までボランティアスタッフがカバーしている。センターには約3000人程度の稼動ボランティアがいるそうで、それぞれが自分の都合とセンターのニーズに合わせて作業に参加している。朝早い作業も、出勤前に活動できる、ということで人気があるのだそうだ。ボランティアは概ね10歳代から20歳代中頃までと50歳代以上の人々で構成されている。ティーンネイジャーから学生までと、子育てが終わって自分の時間ができた世代、ということになるのだろうか。

こうして分類されすぐに利用可能な状態で保存された食料は、各コミュニティで食料分配のために運営されているパントリーや、貧困家庭のための給食(スープキッチン)を運営している個人や組織の手によって必要とされている家庭に供給されていく。中部ミシガンセンターには現在3003のパントリーが連なっているそうで、それぞれの拠点・組織のスタッフがセンターに来て、それぞれの在庫状況や地域の事情に合わせて食料を受け取っていく。この日私たちを案内してくださったオペレーションマネジャーのKさんは

「ITのおかげで、今ではWebサイト上でリアルタイムの在庫リストを見てもらえるようになったのよ。受け取り希望品もFaxで注文リストを送ってもらえるようになったから、事前にFaxさえ送ってくれていれば、パントリーの人たちはセンターに20分程度いるだけで必要なものをみんな積み込んで帰ることができるのよ」

と言い「それまでは封書で注文書を送ってもらっていたから、時間がかかって大変だったわ」と、ほんの数年前までの状況を思い出して笑っていた。

さて、このフードバンクでは、誰が何度利用できるのか、ということについては明確に設定していないという。地域差もあるし、コミュニティごとに事情が異なるという背景もある。何より

「だってね、食料が必要で来る人は、本当にその日食べるもの、その日家族に食べさせるものに困って来るわけでしょう。でも食料を貰いにくる、というのは非常に辛いことでもある筈じゃない。そういう人に、例えばこちらの基準を満たしているかどうかと確認するために色々聞いたり書かせたりすることは得策ではないと思うわ。本当に必要な人の危急に対応できなくてはね。」

という考えに基づくらしい。ある意味コミュニティを構成する人々の節操を全面的に信じるやり方ではあるが、その一方で、同じ人や同じ家庭が何度も食料を取りにくることが続くと、パントリーを運営する人々は声をかけ、話しをすることを奨励されている。何度も来てはいけない、と規制することが目的ではなく、何度も続けて最低限の食料を買えないということは、その世帯が別の、もっと根本的な貧困の原因を抱えていて、その対応策を講じることができずにいたり、サポートプログラムなどの存在を知らなかったりする場合がしばしばあるためだ。食料の分配を入り口に、貧困家庭が抱える様々な問題を発見し、既存のサポートプログラムを紹介したり、利用を促すなどして、根本的な改善につなげていこうということである。

Kさんの理解によれば、アメリカのコミュニティ単位のこういった互助やボランティアの思想は、1920年代末から30年代にかけての大恐慌時代に白人社会にも広まっていったものだという。戦中にはコミュニティの女性同士が助け合う必要性を確認し、世界大戦後の1940年代、50年代の拡大・増強・大量消費傾向の反動のひとつとして60年代に生じたヒッピー文化の中で、そのアイディアはさらに精製されていったのだとか。それでも、広大な国土の中で、地域による社会格差、社会階層による居住区のはっきりわかれているこの国では、社会に存在する貧困に対する理解が急激に進むわけではなく、70年代、80年代、90年代を経て、ゆっくりと貧困世帯のためのサポート組織やシステムが組みあがってきたのだそうだ。

お話しをうかがう限りでは大変うまく運営されているように思えるこの組織でも、悩みの種は理解不足による組織運営費の枯渇である。組織の運営は基本的に寄付金でまかなわれているのだが、お金を寄付する人の多くには、組織の運営にお金がかかる、という発想がない。自分が寄付するお金は直接的に、貧困に苦しむ人や子どもの食料を買うために使われてほしい、という思いから、組織運営費にはお金を使えない条件になっている場合が多いのだという。本当に必要としている家庭に、タイムリーに無駄なく必要な食料を供給していくには、よく運営された組織が必要であり、そういった組織運営はボランティアだけでやっていけるものではなく、それなりの人材がそれを職業として専門的に取り組まなければおぼつかないのだけれど、なかなかそこに理解が得られないのはアメリカも日本も同じである。

その点をコミュニティにわかってもらうためには、広報活動をしっかりやっていく必要があるのだが、広報の専門家を雇う資金などあるはずもなく、「仕方がないから私が片手間でやっているけれど、広報なんて合い間にできるものではないしね」とため息混じりにKさんが話す。目下のところはミシガンのローカルフードバンク事務所と連携して、先方の広報を兼務しているスタッフが一緒に面倒を見てくれ、細々と広報活動をやっているのだそうだ。





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最終更新日  October 9, 2004 06:57:45 AM
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