|
カテゴリ:2004年米大統領選
少し早めにスペイン語の教室へ到着した。すぐ後から到着したスペイン人のB先生に、
私『スペインの新聞、もうチェックした?』 と聞いたら B『オンラインでね。そうそう、スペインの新聞のひとつが、『Kerry Won』って見出しで新聞発行しちゃったらしい(苦笑)』 私『あらら。そりゃまたすごいミスね。スペインはこの結果にはどうなの?』 B(苦笑い&右手で“Boo”のジェスチャー) やってきたクラスメートのSに、 『がっかりしたよね』 と声をかけると、 『もう信じられないわ。実際まだ信じてないけど。KerryはまだOhio州の再集計をやるって言ってるし、まだわからないわよ。』 と言う。確かに部屋を出る時点で、Bush269対Kerry252で、民主党のエドワーズ副大統領候補がオハイオの未集計票について『どの1票も(きっちり)集計されるべきだ』としたコメントがくり返し紹介されていて、まだKerryの敗戦の弁は出ていなかった。 到着したクラスメート達が次々話しに加わる中、ブスーッとむくれた左隣の席のKがやってきた。 K『負けた。』 S『まだよ。』 K『負けたのよ。15分前にKerryが敗戦を認めるコメントを出したのよ』 『えー!』『マジで?』『ウソだろ』 とクラスのあちこちから声が飛ぶ。クラスの大半が家を出た後のことである。Wの文字に駐車禁止マークを重ねた大きなアンチBushシールを貼りつけた水筒から水を飲みながら、Kは落胆を隠せずに K『もう、こんなにがっかりしたことないわよ。Kerryはベストな候補者じゃなかったかもしれないけど、Bushは私のこれまでの人生の中で最もヤバイ奴よ。そんな奴があと4年も大統領やるなんて、信じられないわ!』 と言う。 私『どうしてこうなったのか不思議だわ。昨日いろんなアメリカ人学生と話したけど、Bushに投票したって人には、私は一人も会わなかったのに』 K『ミシガンはKerryが勝ったしね。でも南部は違うのよ。何も考えずに共和党に投票するのよ。』 一時間前にKerryが敗戦スピーチをし、数十分前にBushが勝利スピーチをした。 部屋に戻ってきたルームメイトと話す。二人の共通した観察は、たとえばクラスで大っぴらに選挙を語る人はたいていアンチBush/Kerry支持だった。が、黙っている人にこっそり『で、どっちに投票するの?』と聞くとBush支持者だったりした。2月の民主党候補者選びが終わった後、それまでタブー視されていたイラク戦争への批判、政権政策批判が大っぴらに声高に語られるにつれて、一般のBush支持者は沈黙したけれど、その多くが考えを変えたわけではなかった、ということだ。 韓国の新聞報道をネットでチェックしながら、ルームメイトは達観していた。 『ま、誰もがsomething betterに期待したけど、結局何もおこらなかったってことよ。このまま何も変わらず、この国は4年間やっていくってだけのことよ。』 フランス人クラスメートのMessengerのハンドルネームが、“Bushと一緒にあと4年もばかげた歳月を送るとは!”になっていた。 ひとつだけポジティブな感慨があるとすれば、直接選挙で国のリーダーを選ぶというのは、いいことかもしれない、ということ。もちろん直接選挙にも間接選挙にもアドバンテージ、ディスアドバンテージがあるが、こうして大統領選があって、有権者が直接投票し、そして白黒がはっきりしてみると、双方の支持者、不支持者共に、国の多数が何をどう支持しているのかが誰ものなかで明確になる。 Kerryは敗戦スピーチの中で 『大統領は、投票者によって選ばれるべきであって、司法判断で決められるべきではない』 と、彼が接戦で落としたOhio州の再集計を待たずに敗戦宣言を決意した理由を述べていた。確かに。投票率の悪かったアメリカにおいて、勝者敗者共に、過去最多の票を集めた。それはやっぱり、いいことではないだろうか。 2000年とは異なり、今度はちゃんと“選んだ”大統領を、有権者であるこの国の人たちがちゃんと監視してくれることを願うばかりである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[2004年米大統領選] カテゴリの最新記事
|