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The Pew Research Center for the People and the Pressが、大統領選の3日後の11月5日から8日まで調査をした。選挙投票日に出口調査が行われていたにも拘らず彼らが独自の調査を敢行した理由は、彼らが “出口調査”で調査されたある質問とその結果に疑問を抱いたからである。
The Pew Research Center for the People and the Pressが疑問を呈したのは、「投票に際して最も大事だと思う問題は?」という問いの回答選択肢の中に、税金、教育、イラク、テロ、経済、医療と並んで提示された“モラル・バリュー”。出口調査では22%と最も高い回答を集めたこの選択肢について、The Pew Researchは、誘導回答を誘う作為的な選択肢ではないかとクレーム。自らの調査では、同様の質問について、選択肢式(Fixed list)、自由回答式(Open-ended)の双方で調査し、結果に大きな違いが出ることを証明してみせたのだ。 Exit Poll The Pew Research Center for the People and the Press 昨日、11月20日のNPR『On the Media』に登場したThe Pew ResearchのディレクターAndrew Kohutは、回答選択肢式の調査の場合、選択肢の設定によって回答がドライブされることを指摘し、他にもいろいろと大事なトピックがある中でわざわざこの「モラル・バリュー」という『はっきりしない選択肢』が加えられたことを非難した。同時に、新聞、TV、通信社を含む大手メディア報道のほとんどが Edison Media Research and Mitofsky International社によって行われるたったひとつの出口調査結果に頼っている事実を指摘。1980年代には各社が行っていた選挙の出口調査が一本化されている現状の危険性に言及し、『今後はもっとリソースが用意され、いくつかの出口調査が行われるべきだ』と主張した。 調査結果は、サンプルのとり方だけでなく、質問の仕方、回答方法の設定の仕方、選択肢の内容で大いに違ってくるのはリサーチの基礎のキソ。Edison Media Research and Mitofsky International社のような、リサーチのプロがそれを知らないはずもなく、The Pew Researchが疑問を呈したのも不思議はないと思う。また、The Pew Researchの調査にしたって、回答収集は電話調査であり、6月11日に書いたことだが、サンプリングエラーは否めない状態。問題なのは、それを知らないわけではないメディアが、世論調査やら出口調査やらの数値の上で踊ることである。 実際、メディア各社は選挙翌日、一斉にこの「モラル・バリュー」を報じている。The Pew ResearchのKohutは、自らの調査で出た計約14%のモラル・バリューを挙げた数値についても、メディアの報道によって回答者のチョイスにバイアスがかかっているのではと解説していた。 ちなみに、The Pew Researchの調査は、『じゃ、そのモラル・バリューとは何なの?』という質問も投げている。モラル・バリューを選んだ回答者の割合が、Bush投票者、Kerry投票者で大きく違うのも面白いのだが、この、Bush支持派のアメリカ人の考える“モラル・バリュー”の項目とKerry支持派が考える“モラル・バリュー”の項目の違いも興味深い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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