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「出たっきり邦人」298号に掲載していただいた連載第15回原稿,続きです。
---------------------------- さて今週、これまた非常に多国籍な「国際開発と持続可能性」のクラスでおもしろいアクティビティをした。 これはハンフリー奨学フェローとしてタンザニアから留学してきているクラスメートが、先日ワシントンD.C.でのフェロー研修で取り組んだアクティビティをクラスで再現したもの。 手順は以下の通り。 1)各自2025年に実現してほしいと思う夢を考える。どうやって実現する か、具現化の可能性などは考慮しない。 2)5~6人程度のグループにわかれ、各自の夢をまとめて、できるかぎりす べての夢を反映させたグループとしての夢を作成する 3)各グループの夢を発表し、共通点に注目しながら、クラス全体としての ひとつの夢を作り上げる このクラスは、タンザニア、ケニア、ガーナ、ペルー、メキシコ、コスタ・リカ、インド、フィリピン、日本からの留学生を擁し、その経歴も、ある国の大統領アドバイザークラスの事務方のエキスパートやWTO交渉の関係者、国連関係の組織で働いていた人もいれば、NGOとして現場でバリバリやっていた人など全員が出戻り学生か研究フェローと多彩。また、アメリカ人学生もほとんどがスペイン語やフランス語、スワヒリ語などの第二外国語を話し、アフリカや中米の開発関連での現場経験があり、教授はエジプト、インド、 インドネシアでのリサーチ経験がある人である。 そんなこのクラスで、ディスカッションの末、最後にクラスの夢として生き残ったもののひとつが 「“オートマチック・多言語・双方向翻訳機”が開発され大ヒットし、量産されて価格も下がり、世界中誰でも持つことができるようになる」 だった。“夢”なので勝手なことを言いたい放題(笑)。この翻訳機は、イラク戦争に米軍が持ち込んだ一方通行の7カ国語翻訳機(英語の命令文を7カ国語に翻訳して音声で伝えるだけのもの)のようなものではなく、少数民族の言語も数多くカバーし、翻訳の精度も高く、文化的な背景をふまえた人間味ある翻訳も可能というシロモノである。 こんな一見のん気な“夢”が生き残ったのは、このクラスのほとんどが言葉の障壁を実感したことのある人たちばかりだから、ということもあるが、背景にあるのは、言語の障壁がなくなれば、世界の知識・教育格差がせめても狭まるし、もっと自分達の国・文化だけではなく、他の国・文化を簡単に知ることができるようになるかもしれない。そして、自分の発想・世界観にはない物事を“知り”、世界には“違い”と“類似”があることを認識することはすべての始まりであり、そうして得られた情報の共有が、結局は世界各 地の貧困、病気、教育、経済、環境、差別などなどの解決の第一歩なのではないか、という思いだ。 “夢”は所詮“夢”である。開発の勉強は、学べば学ぶほど、考えれば考えるほど現実の壁が高くそびえていくように感じる果てしないもの。みんな行き詰まり感で疲れているから、表面上はあっけらかんとした前向きな“2025年の夢アクティビティ”は良い気分転換になってか盛り上がり楽しかったが、現実はそんなに簡単ではないことは百も二百も承知のメンバーである。ただ、世界には“違い”と“類似”があることを認識することが、問題解決の一歩なのだという点において、多国籍多民族多人種のクラスの中で一致を見たことが感慨深かった。 2004年もあと一カ月足らずになった。2025年は20年先ということになる。20年先、どんな夢が実現し、国際社会という多国籍多民族多人種コミュニティは、どんな社会になっているのだろう。そして、みなさんの考える2025年の夢はどんなものですか? ---------------------------------------------------- | 冒頭の問題の解答 | 答えは、D でした!! | トップ10は、1-韓国 756人 2-中国543人 3-インド371人 | 4-日本167人 5-台湾155人 6-カナダ133人 7-トルコ62人 | 8-香港59人 9-マレーシア50人 10-ドイツ49人 ---------------------------------------------------- ------------------------------------------------------ 出たきり邦人の次の掲載原稿発行予定はなんと12月31日。うーむむむ。何を書こうかなぁ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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