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February 5, 2005
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勤め先で、最後の参観日・保護者懇談会を終える。うまくいった事もあったが、うまくいかなかった事も多々あった。改善できないままこの仕事は終わっていくのかと思うと、最後の大型行事が終わったことにはホッとするが、申し訳ない気持ちにもなる。

帰宅してからかねての予定通り、キャンパス映画館にかかった『Team America. World Police』を観にいく。監督はブラック・ユーモア満載の一種『South Park』の作者たちでMichael Mooreの『Bowling for Columbine』にも登場したアニメ/コミック作家だし、TVで流れた予告編を観て、その皮肉っぷりがおもしろそうだったので、公開時から観ようと思っていたのだ。

あえて吊り糸の見えるサンダーバード調の人形劇。内容はまさにタイトルそのまま。映画評・背景考察などは専門家のサイトでご覧くださいませ。

確かに皮肉だらけなのだが、会場の他の観客達(概ねアメリカ人だったと思われる)がゲラゲラ笑っているのに対して、全く笑えない。

笑えない理由はおそらくふたつある。

ひとつは、「ユーモアは文化境を越えない」というCross cultureのクラスで学んだことを裏付ける要素。ユーモアとはたいてい、文化背景を基にした文脈の上になりたっている、送り手と受け手が共通の前提知識を共有していて成り立つ(high context)コミュニケーション。要するに双方がネタ元を知っていて初めてコミュニケーションの土台ができ、それがおもしろければ笑える、ということになる。(笑いの構造は専門外ですので割愛) ネタ元がわからなければ、何がおかしいか全然わからない。

私の場合アメリカに3年半いても、基本的には勉強ばかりしている生活で広がりがないから、興味のない分野のことはほとんど知らない。新聞の政治・経済欄に出てくる事柄・用語には多少強くなったが、それとて英語が聞こえるようになったここ2年よりも以前の話はさっぱりである。したがって、『Team America』を見ていても、ネタ元が不明で,何をおちょくっているのか、パロディにしているのかわからないから笑えない。しかもそこにスラングが入ってくると、英語表現そのものがわからないから、もうさっぱり、という状態になってしまう。

もうひとつの笑えない理由は、戦闘に絡む“死”の表現方法。ストーリーの中ではどんどん死人が出るのだけれど、『South Park』同様,映画は“死”の描き方でもって笑いをとりにくる。これは、私は笑えないところである。ゲラゲラ笑い転げるほかの観客たちに対し「不謹慎な・・・」と眉までひそめたくなってしまう。そして、自分には笑えないシーンと笑い転げる観客を見ながら、なぜ自分はこれを「不謹慎だ」と感じるのか考えていた。

おそらく、日本で受けてきた教育、また、我が家の教育の中では、“死”には真摯に接しなければならないと躾けられてきたからだろう。仏教に基づくものか、儒教、或いは武士道に端を発するものかはわからないのだが、いかに作り事、ブラック・ユーモアという申し開きがあったとしても“死”を笑い事にしてはいけない、という感覚がしみついている。まして戦闘による“死”をどうやって“おかしい”と受けとめられるのか、という反応が自分の中にある。

どうやらこれは我が家のしつけのためだけではなさそうで、実際、一緒に見にいった日本人の友人達にも、ゲラゲラとウけることができた人はいなかった。

これは映画で、作り事で、しかもブラック・ユーモアだから、“死”を笑いのネタにしたからといって、現実の“死”について不敬であることにはならない、という意見が出てくると思う。確かにそうだろう。仮想と現実が混同するようでは、深刻な精神の病であり。

しかし、その“現実”の認識の度合いによっては、話しが違ってくるような気がする。

映画を観終わって、みんなでご飯を食べながら、少し違う角度からこの話しをしていた。

北野武がかつて、『自分の映画の中の“死”は“痛い死”だが、アメリカ映画の中の“死”はそうではない』といった主旨をインタビューの中で話していたことがあるそうな。たとえば先週見た『たそがれ清兵衛』に出てくる人が斬られて死ぬシーンや死体のシーンは、非常に“痛そう”で見ていて辛いシーンだった。それに対してアメリカ映画やドラマはどうだろうか・・・と思う。もちろん、いろんな作品があるから十把一絡げにはできないけれど。

戦闘や戦争で人が死ぬ、ということを現実に見聞きした人は、アメリカ人、日本人のある年齢層より下をとってみれば多くはない。どこでその“現実”に対する認識の土台を作るか、というとやはり映画やドラマ、報道なのではないかと思う。映画やドラマの判断は詳しい方にまかせるとして、報道については、この国が近年だけでも湾岸戦争、アフガン、イラク戦争と直接関与してきたが、本当の戦場を想像したり“痛さ”“辛さ”“むごさ”を感じることができるような報道はほとんどない。

では人から聞く話しはどうか。日本に比べると、アメリカの場合は従軍経験者の率が日本よりは高いし、戦場経験者も朝鮮戦争、ベトナム戦争以降だけでも湾岸戦争、今回のアフガン・イラクがあるから、日本に比べれば相当数の人たちが実際に戦場に行っているし、そこで戦死した人の家族もたくさんいるのだが、その肉声、というのは不思議なほどメディアにのってこないし、たとえば誰か従軍経験者が学校や、集会で自分の経験の話しをします・・・といったローカルイベントも耳にしない。検証したことはないが、もしかしたら、あまり実際の戦場・戦闘の話しを公の場でしない、という社会の雰囲気があるのではないか、と思える。

私にはもちろん、従軍経験もないし戦場で戦火をくぐった経験もない。ただ“現実”を想像し感じる機会はこれまでにたくさん与えられてきた。小学校の修学旅行は広島で、被爆者の方のお話を聞いたり、原爆ドームへも行って“胸がつぶれそうな”ショックというのも味わった。『はだしのゲン』も『ひめゆりの塔』も必読書として学校でも家庭でも位置づけられていたし、その他にも数え切れないほどの戦争経験をテーマにした本が身近にあった。中学生になったら家永の『日本の歴史』全10巻が買い与えられたから、近世・現代の巻を何度も読んだ。学校でも平和教育が盛んだったし、8月6日、9日には黙祷をし、15日には終戦記念日の報道を見て、何がしか、戦争の話しが話題にのぼっていた。

その上に、今の私の、戦闘による“死”をたとえ仮想の中でも軽く扱ったり受けとめられない感覚があるのだなぁ、だから笑い転げる劇場内を見ながら「不謹慎だ」と感じていたのか、と思う。

アメリカにも平和教育はあるし、反戦をメッセージにした映画もある。でも、日本で私の世代が受けたほどの量・機会ほどはないように思える。そして、戦争を肯定してしまえる社会がここには存在する。『Team America』を見たのと同様に、彼ら彼女らは戦闘による“死”を“痛さ”と共に扱った映画やドラマや報道を見て考え、想像するチャンス、或いは姿勢があるだろうか。Tsunamiと同じ“死”と“むごさ”が、遠隔地から撃たれたミサイルが直撃したひとつひとつの先に存在することを、具体的に考えてくれているだろうか。この撃たれて飛び散っていくパペット人形のシーンは、現実にも存在しえることを想像してくれているだろうか。

このとりとめのない思考は、同じ疑問を、日本の子ども達にふりかえてみて、20年後、日本社会が戦闘による“死”に対してどう感じるようになっているか、というところに行き着いた。そして、怖くなった。






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最終更新日  February 8, 2005 12:07:54 PM
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