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(その1から続く)
デトロイト経済振興協会はスーパーボウルに絡んで、期間中約12万人の一般客、3千人の報道関係者がデトロイトを訪れ、一人あたり平均4日間デトロイトに滞在すると見込んでいる。スーパーボウルはゲームそのものだけでなくそのプレイベントが約1週間にわたって開催される一大フェスティバル。1982年以来四半世紀ぶりに到来する、経済効果$300M(約\315億)のビッグイベントにかけるデトロイトの気合いはすごく、早くも地元経済界、スポーツ界、政界、アカデミックの総力戦になりつつある。 オハイオ生まれで、デトロイトに拠点を置くかつての名ドライバーにして名レースチーム監督、そして億万長者ビジネスマンのロジャー・ペンスキーがスーパーボウルXLの実行委員会を率いているのもすごいが(決してお飾りではなく、アクティブなリーダーらしい)、地元スポーツ界もアメフト関係者だけでなく、愛されるダメトラ・デトロイトタイガースや、ストでシーズンキャンセルでもデトロイトの誇り・アイスホッケーのレッドウィングスの選手や関係者達も全面協力態勢で、早くもプレスツアーなどに参加して、話題作りにいそしんでいる。 市行政も周辺自治体もこれを契機に道路の修復計画や街の整備に乗り出して、もちろんミシガン州知事も大喜び。デトロイト郊外の州立大学のひとつは、学長オフィス直轄で学生ボランティアのリクルートキャンペーンをはっている。実行委員会によれば、運営資金の$14.5Mのうち、$11Mはすでに寄付等で集まったそうだ。ホテル2万室が確保済み、8千人必要とされるボランティアのうち4500人もすでに登録済みとの発表もあった。 開催決定の発表以来充分な時間があったこともあり、NFL本体のスーパーボウル・ディレクターも「デトロイトは準備が早くて素晴らしい」とコメントしたとかしないとか、地元紙も追い風をあおる。一年前のテストイベントも無事に終わり、実行委員会はそのイベントの分析と改善点のリストアップを急いでいるそうだ。これからの300日はきっと、あっという間である。 デトロイト出身の友人は、 「スーパーボウルでも何でも、デトロイトにはとにかく何か明るい材料が必要なんだよ。」 と言う。 「貧富の差とか人種差別とか経済荒廃とか犯罪とか、いろんな問題がありすぎるから。何か大きなインパクトがないと這い上がれない」 かつて工業ベルトとよばれた中西部地帯は、アメリカ自動車産業の世界市場での苦戦の煽りをもろにうけ、工業面でははかばかしくない。今ではラスト・ベルト(Rust belt)の呼び名もすっかり一般的になってしまった。 昨日も、私の街にあるGMの工場が突如工場閉鎖を発表して大騒ぎになっていた。閉鎖するとは予想されていたが、従業員も市長も今年いっぱいは大丈夫だろうと思っていたのに、今年5月には閉鎖するというのだ。来年度まで持ちこたえられなかったらしい。 アメリカ人ですら、「買えるものなら日本車がいい」と言うほど、日本車の評価も人気も非常に高い。相対的にアメリカ国産車の販売は苦戦する。自動車産業を基幹として繁栄したモーターシティ・デトロイトは、かつての工業ベルトの花形であり、今はラスト・ベルトの代表格である。2006年2月5日のスーパーボウルXLに向けてのこれから一年、デトロイトにとって、せめても前向きな月日になればと思う。 Pupa お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
March 7, 2005 03:27:10 AM
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