『The West Wing』とトム・クランシーにジェフリー・アーチャー
クラスメートのEは、ここのPolitical Scienceの博士課程に入る前は3年間、ワシントンD.C.のさる政府機関で働いていた人である。クラスは政治学の中でも理論が中心の内容だが、彼のコメントは与えられた内容に添いながらも、実践経験に照らして提示された理論を検証したり疑問を呈したりしようとする傾向がある。私には彼のコメントやディスカッションペーパーがおもしろい。彼の議論が現実とかけ離れていないところが、門外漢の私にはわかりよく、受け入れやすいのかもしれない。水曜日の夜はNBCのドラマ 『The West Wing』の日。ホワイトハウスで働く補佐官達が主役のドラマで、日本でも放映され始めたと聞いているが、渡米以来帰国していないので、日本版は見たことがない。大統領(マーティン・シーン)が主役ではないところがいいドラマ。不思議なことに、イギリスでもこのドラマが人気だと聞いた。イギリス人はアメリカの政治を嫌っていると思っていたので意外だ。イギリス経験者の人に会ったら聞いてみたいものだ。私は、このドラマに出てくるコミュニケーション・ディレクターのトビィとプレス・セクレタリーのC.J.がお目当て。包括的にPublic InformationとMedia Relationsを扱う二人の仕事っぷりは、たとえこれが「お話」だということを差し引いても私には興味深い。ただしこのドラマ、出演者の会話がとにかく早口で、しかも政治、外交、経済、医療、人種問題などなどなど、話題も多岐にわたるし政治・行政用語も多いから、ボキャ貧の私には超難解。毎回新しいエピソードの日はビデオをセットし、オンエアと録画を2回見て、その上キャプションをオンにして英語字幕を見ながらもう一回見てやーっと内容がわかるという始末。それでも毎週見続けてしまう。クラスの休み時間にEと話す機会があったから、「ごめん、ちょっと子どもっぽい質問があるんだけど」と前置きして「私、『The West Wing』の大ファンなんだけど、あの中の話って、現実の状況に近いと思う?それともタダの理想的過ぎる作り話なのかしら?」と聞いてみた。普段めったに口を開かない私が、何か聞いてきたと思ったらTVドラマの話だから、彼は相当滑稽に思ったに違いないが、やさしく礼儀正しい人なので丁寧に答えてくれる。E「あぁ、それは誰が大統領なのかに寄ると思うよ。」私「もちろんマーティン・シーンはとっても理想的なキャラクターに作ってあるし、民主党でしょ。」E「そう、そこだよ。民主党の大統領の話なんだよ。あのドラマは基本的にクリントンを模しているからね」私「そうなんですってね。私C.J.がお気に入りなんだけど、彼女はクリントンのプレス・セクレタリーがモデルなんでしょ?」E「そう、ディ・ディ・マイヤーだね。他のスタッフもモデルがいるんだよ。あのドラマには何人もアドバイザーがついているらしいよ」私「ディ・ディもアドバイザーだって言っていたわ」←彼女の講演を聞きに行ったことがあるので話がわかって嬉しいE「まぁ、今のホワイトハウスはあのドラマとはまったく別物だと思うね。僕も毎週見てるけど、今のD.C.は共和党政権だし、全然違うと思うよ。」やっぱりねー。まぁ、今のホワイトハウスがドラマの中のように風通しが良くて、みんな世界のためアメリカのために一生懸命な組織だとは思えないからEの見解は意外ではなかった。ところで会話の最後にEに「キミは専門分野は政治科学じゃないんでしょう。大学で勉強したの?」と聞かれた。休み時間も終わりだったし適当に笑ってごまかしておいたが、とても恥ずかしくて、真面目に博士課程をやって学んでいる彼には言えない。私は政治学については大学で概論をいい加減に1クラスとっただけで、正規の教育はゼロ。では何故このクラスのレクチャーや教授との会話にそんなにびっくりせずに曲がりながらもついていけるのかは、すべてこれまでの読書のおかげである。しかも、ちゃんとした理論書や専門書などでは“決して”ない。私のイギリス政治の知識のネタ元は、ジェフリー・アーチャーの『ダウニング街10番地をめざせ』。アメリカ政治は、同じくアーチャーの『ロスノフスキー家の娘』と、トム・クランシーの一連の作品なのだ。f(^_^) 教授が知ったら泣くし、真面目に学んでるクラスメート達が聞いたら怒るね。でも実際、ある保守党ヒラ議員がイギリス首相になるまでの姿を描いた『ダウニング街~』は、第二次大戦後のイギリス内閣・議会史を網羅していて、今イギリス政治関係の文献やらを読んでいても、この事件の時に誰が首相だったとか、この首相がどういうキャラで、どういう問題を引き起こしたかなどなどの事例やらそれにまつわる単語を理解するのにえらく役立っている。アメリカ政治についても、『ロスノフスキー家の娘』は移民の娘がアメリカ発の女性大統領になるまでの話という現実離れしたストーリだが、このわけのわからないアメリカの大統領選挙制度の実態や起こりうる問題を知るにはもってこいだった。読んでいる頃は後で役立つなんて思いもしなかったが、今はあの本を読んでいたラッキーに感謝感謝である。(ちなみにJ.アーチャーは詐欺事件を起こし現在は刑務所だったんじゃなかったっけ。何をやってんでしょうねぇ)トム・クランシーは言わずと知れたアメリカ大統領モノの代表作家の一人。彼の書く大統領が格好良いからと、レーガンだかパパ・ブッシュが彼をホワイトハウスに招待したなんてのは余計なオマケだが、作品としてはとにかくおもしろい。しかもD.C.のエージェンシー同士の確執やら、情報がうまく流れない構造などが描かれていて、あながちウソじゃないんだろうなぁとも思ったりする。というわけで、まじめに勉強している人たちにはとても説明できないところに私の知識は立脚しているのだ。中東で相次いだ爆破事件の騒然とした現場や、泣き叫ぶ人々の姿がくり返しTVから流れてくる。イスラエル軍とパレスチナ市民が撃ち合っている様子を兵士と一緒に動いていたカメラが撮影していたようで、その映像も何度も何度も放送されている。朝一番のニュースでは、中東でのアメリカ憎悪は、これまでの歴史の中で最大だとレポートされていた。子どもじみた考えだが、ここまでの状況になってくると、マーティン・シーンの演じるバトラー大統領でもジャック・ライアン大統領でもいいから、まともな人がこの国のリーダーになり、やるべきことをやってほしいよ。リーダーは乱世に生まれるらしいが、こんなにみんなが大変な思いをする前にヒーローが出てくるなら、でてきてほしいよ。TVを眺めながらそんな事を考えていた。==追記==nmさん情報提供ありがとうございますm(_ _)m作家 ジェフリー・アーチャー氏は昨年9月に仮釈放されていました!その後のニュースがないところを見ると、おとなしくシャバの生活を楽しんでいる模様…Lord Archer freed from prisonDisgraced peer Lord Archer has been released from jail after serving half of his four-year sentence. He left Hollesley Bay open prison near Woodbridge, Suffolk, about 0815 BST on Monday, two years after being jailed for perjury and perverting the course of justice. Wearing a blue shirt, and said to be frowning as he passed the scrum of journalists gathered at the jail, Archer was driven away in his son's BMW, followed by cameramen on motorcycles. He arrived at his £1.5m home in Grantchester, Cambridgeshire, about 0955 BST and was reunited with his smiling wife, Mary. The pair posed for photographs for the waiting media scrum, before heading into their house arm-in-arm. There were no obvious preparations at the house for a party to mark Archer's release. Archer was later driven to his luxurious London penthouse flat by son William, arriving at 1337 BST. Archer did not speak to the press, instead hurrying into the block past two policemen. An hour later, the peer travelled to meet his parole officer in Stockwell, near Brixton, south London. There he was in trouble again as the BMW his son was driving was left parked illegally on a red line, before police asked that it be moved. Local Labour councillor Donatus Anyanwa, who had informed on the Archer car, said: "This is illegal. It's antisocial." But Mr Anyanwa said he hoped Archer would gain from his parole experience in south London. "I hope it's a learning experience for him. I hope he'll understand that Brixton has a lot to offer." Archer eventually emerged from the meeting with his parole officer about 1550 BST and amde his way through the crowd of journalists outside the building. The jury at his trial found the novelist had lied under oath during his 1987 libel case against the Daily Star over allegations he had had sex with a prostitute. On the eve of his release, the disgraced peer thanked his family and members of the public for their support during his imprisonment. He is waiting to discover whether he will keep the right to sit in the House of Lords after calls for rules changes relating to convicted criminals. The government is being asked to close a loophole allowing peers who have been convicted of a criminal charge and jailed for more than a year to resume their seats. Archer must live in premises approved by his supervisor. Archer, 63, is understood to have requested his multi-million pound London address to be registered as his home, although he will also want to be able to spend time at his residence in Grantchester, where his wife normally lives. Story from BBC NEWS:http://news.bbc.co.uk/go/pr/fr/-/1/hi/uk/3082627.stmPublished: 2003/09/22 13:17:53 GMT