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Pussy Cat Sophie (子猫ソフィの猫物語)その他

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2008.04.26
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カテゴリ:徒然猫物語
米国の作家レイ・ブラッドベリ(Ray Bradbury)に、
幻想的な「霧笛」(The Fog Horn)という短編がある。
(「ウは宇宙船のウ」(R is for Rocket)に収録されている。)

死に絶えてしまったはずの恐竜のうち、
なぜか1匹が生き残って、海底深く眠り続けている。
二度と帰らぬ仲間達を待ちながら、眠り続けている。
ある日、恐竜の声に似た灯台の霧笛に、100万年の眠りから目覚める。
霧笛は「ぼぉぉ~~、ぼぉぉ~~」と恐竜の記憶の彼方に呼びかけてくる。

恐竜は仲間の恐竜に会うために、
数ヶ月間かけてゆっくりゆっくり水圧に身体を慣らしながら、海面に浮上してくる。
仲間に会いたくて、浮上してくる。

ある霧の夜、海面に浮上した恐竜は、霧の中、灯台に呼びかける。
「ぼぉぉ~~、ぼぉぉ~~」と、何度も何度も呼びかける。
灯台も「ぼぉぉ~、ぼぉぉ~」と霧笛を鳴らす。

ところが、灯台のスタッフが恐竜を見て、霧笛を消してしまう。
恐竜が呼びかけても呼びかけても、灯台は応えてくれない。
恐竜は怒り、遂に灯台を破壊する。
もう灯台は霧笛を鳴らすことができない。
愛するものを自ら破壊してしまった恐竜は、
もう二度と応えてくれない怒りと悲しみと空しさに鳴き続け、
霧の中、海底に去っていく。

細部は若干違っているかもしれないが、確かそういう話だった。

高校時代に日本語で読み、大学1年の時に英語の原文で読んだ。
幻想的な情景が、まざまざと目に浮かんだ。
英語の原文で最後の文章を読み終えた時、
何ともいえない感慨と哀愁を感じた。

30数匹いた猫達のうち、チロが1匹だけ残って、去年ハクをもらった時、
ああ、「霧笛」の状況だと思った。
ハクが来て、チロは本当に喜んでいた。
チロは同族の猫がいなくなって寂しかった。
それで、毎日、毎日、ハクに挨拶をした。
ハクに無視されても無視されても、
一生懸命すりすり身体をこすりつけて挨拶をしていた。
ハクは灯台と違って、10日間でチロに応えてくれたが、
もしハクが応えてくれなかったら、チロはどうしたんだろう。
恐竜のようにハクに怒っただろうか。
多分、何ヶ月でもすりすり挨拶を続けたんじゃないだろうか。
レイ・ブラッドベリの描く恐竜の性格とチロの性格は、明らかに違う。

シッポも、恐竜の性格とは全然違う。
「私、仲間の恐竜(=猫)に興味ないし、仲間の恐竜が怖いから、
仲間に会いに、わざわざ海面に浮上しないもん・・・」という感じで、
土台、最初から話が成立しない。

ちなみに、この恐竜の性格にそっくりなのが栗である。
栗は多分、応えてくれないと怒り狂う。
怒り狂って攻撃を仕掛ける。
栗の論理は多分、
「僕がこんなに一生懸命なのに、応えない相手が悪い。
 お前、性格悪いぞ~!」である。
応えてくれない相手に怒る栗と恐竜。
(栗には、「霧笛」の幻想性のかけらもないが・・・)

栗の性格は、「霧笛」の恐竜か~と思っていると、
映画「ジュラシック・パーク」のギョロ目の恐竜(ティラノザウルス?)の横顔ドアップが、
ふっと目に浮かんだ。
ジュラシック・パークのギョロ目恐竜が怒り狂って、
長い尾や前足で灯台を破壊している。
これはもう「霧笛」の世界じゃない。
ゴジラの世界である。
応えてくれない灯台に怒り狂い、
「ギャオ~~!(=お前、性格悪いぞ~!)」と、灯台を破壊する栗ゴジラ。

恐竜を題材に取りながら、
こんなことを一切思わせず、
幻想と失われたものへの郷愁を感じさせる
レイ・ブラッドベリの文才は凄いと思う。





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Last updated  2008.04.28 13:51:09
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