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Pussy Cat Sophie (子猫ソフィの猫物語)その他

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2009.03.06
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カテゴリ:ブック・レビュー
言語学では、言葉は研究対象であり、
全ての単語や言葉は平等であるため、
価値判断を伴う「美しい」表現や言葉は存在しないとのことだ。
だが、社会上、言語感覚上では、美しい言葉は存在する。
もっとも、「美しい」言葉とは主観的・感覚的なものなので、
何をもって「美しい言葉」とするのかは、人によって異なるが。

ところで、言語学の本を2冊(A「教養としての言語学」とB「はじめての言語学))読んだ。
対照的であった。
Aでは、鳥の言葉も研究しており、人間以外でも言語は存在するという。
Bでは、言語は人間だけのものだという。

双方ともに言語学入門を歌っているのが面白かった。
双方ともに自説が正しいことを主張していた。

Aはいかにも学問的であったが、
Bは砕けた口調で読みやすくしてあった。

ただし、Bでは「わからないことをわかったという人は嘘つきという」などという、
言語学以外の主観と価値観が随所に見られた。
(確かにお説ごもっとも・・・だけど、言語学には関係ないよね。)
これが好きな人は良いが、言語学入門を期待して読んだ人は、
「著者の価値観ではなく、言語学の一般知識を教えてくれ!」といいたくなるかもしれない。

Bでは、言語学入門と歌っているにも関わらず、
どこからどこまでが著者の個人的な意見で、
どこからどこまでが言語学界の過半数を占める意見なのかがわからなかった。
読み進めるにつれ、
個人的な意見を言語学界の常識として読者に押し付けているのでは?という気がしてきた。
「言語学では・・・である」という主張が多かったが、
まず最初に、言語学という学問の範囲と言語学に参加している人(言語学者?)について、
厳密な定義が必要だと思った。
そのうえで個人的な意見と一般論を分けて書くべきだと思った。

Bは口調が砕けていて主観的で、読み物としては面白いが、
学問の紹介としてはイマイチ。
いっそのこと、「フラ語入門わかりやすいにもホドがある」シリーズのように、
学問の紹介ではなく、砕けた読み物路線で押せば面白かっただろうに・・と思う。
(ちなみにフラ語シリーズの著者(上智仏語)もBの著者(おそらく上智露語)も上智出身。
上智出身者はウケを狙って、砕けた口調で語るのが好きなのね・・)

ちなみに、たとえば、英語の音声学を研究していても、
母国語の発音で英語を話せるわけではないそうだ。
言語学を研究していても、数ヶ国語をペラペラ話せるわけではないそうだ。

それと同じで、
言語学を研究していても、論理的でわかりやすい文章が書けるわけではない。
多くの人が美しいと思う文章や感動する文章が書けるわけではない。
英文学を研究していても、英語で小説が書けるわけではない。
翻訳論を研究していても、素晴らしい翻訳ができるわけではない。

理論や学問は、実践の基礎として必要だけれど、
往々にして理論と実践は別ものなのだ。
それを実感させてくれた言語学の本だった。





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Last updated  2009.03.08 16:53:25
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