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カテゴリ:ブック・レビュー
「先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!
[鳥取環境大学]の森の人間動物行動学」を読んだ。 著者は小林朋道、出版社は築地書館である。 読みやすくて面白かった。 鳥取環境大学での出来事を面白おかしく書きながら、 動物行動学や人間行動学を「ちょこちょこ」と口語体で解説(?)している本である。 ただし、本当に理論部分は「ちょこちょこ触れる」という感じで、 大半は面白い事件の描写である。 たとえば(1つ種明かしすることになってしまうが)、 研究室で飼っていたハムスターとヘビが、 同時に部屋のどこかに逃げ出してしまった。 早く捕まえないと、ハムスターがヘビに食べられてしまう。 そこでハムスターを捕らえるべく、ハムスターが好きそうな餌を入れて罠を仕掛けたのだが、 数日後、ハムスター用の罠にかかったのは、何とハムスターではなく、ヘビであった。 「でも、これでハムスターがヘビに食べられることはない。 今度はハムスターが罠にかかるのを待てばよい」と、気を取り直した先生、 またハムスター用の罠を仕掛けたのだが・・・・ 1日経っても、2日経っても、1ヶ月経っても、ハムスターは罠にかからない。 そこで先生ははたと気づく。 もうハムスターが罠にかかることはないだろう。かわいそうなことをした・・・と。 ここで読者も先生と同じ結論に達して爆笑する。 そう、最初に罠にかかったのは、ハムスターだったのだ。 その罠にかかったハムスターが、ヘビをおびき寄せる餌代わりになって、 ヘビが罠にかかったのだった。 でも、私も含めて、人間とは何と残酷なことか。 狭い罠の中でヘビに睨まれ、逃げ場もなく、 ヘビに食べられたハムスターは、さぞかし恐怖に怯えただろうに、 人間の読者は、思わず笑ってしまうのだった・・・ ちなみに、同じくこの本によると、 擬人化によって、動物や植物の「気持ち」を想定する人は、 その習性をよく理解して記憶するので、育て方も上手な場合が多いそうだ。 ただし、それぞれの種の習性を考慮しない擬人化は深みに欠けるとのこと。 たとえば、ヤギのヤギコに「さよなら」の挨拶をする時、頭を撫でても嫌がられる。 犬はこのスキンシップを喜ぶだろうが、 ヤギの脳には、体に触れて挨拶するという行動プログラムはない。 ヤギのヤギコには、ただ一言「またね」や「メー」と言うだけで良かったのだ・・・と。 できれば、この理論部分をもう少し整理整頓して詳しく書いてほしかったが、 とにかく楽に楽しく読める本である。 気楽に本を読みたい時にお勧め。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.04.12 02:46:28
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