『図解・電車のメカニズム』で新発見
昔の鉄道大好き少年、今なら鉄ちゃんと呼ぶのだろう。お馴染みブルーバックスでの新発見。とはいっても、知るべき人は知っていると思うが…。電車の運転席にあるマスコンことマスターコントローラー。最近はブレーキレバーと一体になったワンハンドルマスコンが増えている。このマスコンは加速するときは「力行」、減速するときは「制動」に動かすのだが、その動かす方向の考え方が面白い。かつての国鉄の電車も含め、以前はマスコンを押して「力行」、引いて「制動」としていた。これは、もともと欧州の馬を御すときの考え方に基づいているという。馬車を止めるときは手綱を引くという動作と同じなのだそうだ。それに対して、現在は押して「制動」、引いて「力行」の方式が採用されているという。人間の体が慣性に逆らわずに運動するよう、また万一、運転手が失神した時には前に倒れ込むであろうということで、人間工学の考え方に基づいている。以前葛西の地下鉄博物館のシミュレターでワンハンドマスコンの操作を体験したとき、引いて「力行」に違和感を覚えたことがあった。なるほどそうだったのか。自分は昔の文化を引きずっていたのか。「引いてブレーキ」は馬の手綱から来ているということに妙に納得した。図解・電車のメカニズム