トリュフの科学
久しぶりに、報告書を書かなくてもよい完全休養の土日の一日。自然史博物館で行われた講演会を聴講した。テーマは『地下生菌から読み解くきのこ類の収斂進化』。地下生菌とは、大半が地下性~半地下性のきのこ。トリュフが代表だ。これらは、子実層(主に傘の部分)が完全に外皮に覆われている、胞子の射出機能が欠如している、という特徴がある。更にトリュフのように特有のにおいを持ち、小型哺乳類(リス、ネズミなど)や節足動物に摂食されることで胞子を散布するという。収斂進化とは、動物で言えば、イルカやクジラのような哺乳類が、海の生活に適した形態に進化し魚と同じような形態に収斂していくこと。地下生菌にも地上性のきのこの系統から進化したものが多いという。最近発達したDNAによる分子系統解析が研究の役に立っているとのこと。それでも、未知なる菌類は今でも100万種以上あると予想されているそうだ。ということで、難しそうなテーマではあったが、トリュフの科学ともいうべき内容を面白く見聞きさせてもらった。講師は神奈川県の博物館の学芸員。小学生のころからきのこ大好き少年だったとか。さもありなん。こんな世界もあるのかと知った半日だった。