2つの、或いは3つの顔の不思議
人が、3つの点が集まった図形を人の顔と認識する現象を、シミュラクラ現象と言う。和歌山からの特急くろしお号に乗ったとき、そんなシミュラクラ現象を強く感じた。特急くろしお号の287系車両は飾り気のないグレーの単色塗装。それがあってか、入線してきた先頭車両が人の顔に見えた。運転台が目で、全面の扉が鼻又は口だ。同様に、前照灯が目で連結器が鼻若しくは口にも見えた。目が吊り上がった厳しい顔も浮かんできた。287系には、同時に二つの顔が見えた。次に車内。前座席のテーブルの固定部品だ。これには典型的且つ強力なシミュラクラ現象が起きる。一度人の顔に見えると、それ以外には見えない。というわけで、車窓の景色もそこそこにシミュラクラ現象を堪能した。