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カテゴリ:わくわく児童文学
森川成美の〈アサギシリーズ〉の第3作完結編を読んだ。 〇ストーリー 巫女の老婆の指示で外の村〈とが村〉に着いたアサギは,神隠しに遭ったと言われていた人々が,奴隷として働いていることを知る。そこに潜入し,彼らを解放したアサギは,自分の〈下村〉に戻り,〈とが村〉からの追っ手を迎え討とうとする。〈下村〉から戦士は派遣できるのか?そして3つの村のチカラを合わせることは出来るのか? ーーーーーーーーーーー 〈上〉〈中〉〈下〉,そして〈とが〉の4つの村をめぐる〈アサギ・シリーズ〉も最終巻だ。巻頭に地図が配置され,とても分かりやすくなっている。 外部との貿易をすることで,3つの村との約束を守る必要がなくなった〈とが村〉は,3つの村の人々を捕えるだけでなく,武力で制圧しようとしてくる。 ”赤い穀物”を手に入れたことがその決断の元のようだが,それにしても乱暴な方針だ。 ーーーーーーーーーーー 故郷〈しも村〉に帰り着いたアサギだが,過去の奴隷取引を隠そうとする長老たちにごまかされそうになる。勇気をふるって発言したアサギは,元奴隷たちと,少ない人数の戦士とで,3つの村の連合を目指す。 これまで巻で語られた地理を利用した戦は臨場感があり,なかなかの迫力だ。こんな壮大な展開になるとは思わなかった。 ーーーーーーーーーーー 4つの村のチカラ関係とは別に,商いでしたたかに生きる女,遠くの村から出稼ぎに来た青年など,別の生き方をする人々を描写することで,物語は立体的になっている。 村と村の戦はあるが,人と人は本来は別の関係だということだろうか?それにより,戦のむなしさが増すような流れとなっている。 相変わらず猿や〈声〉については,一切の説明は無かったが,物語は2巻の時点での心配を払拭してくれて,骨太にきちんと終わった。 もっとこの作者の作品を読みたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.04.06 10:00:06
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