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2020.06.10
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直木賞受賞作品となった長編「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ短編集を読んだ。

〇ストーリー
芳ヶ江国際ピアノコンクールの後,栄伝亜夜,マサル・カルロス・レヴィ・アナトールと風間塵の3人は,ピアノの恩師・綿貫の墓参りをする。最後に空の上から聞こえてきたのは?


ーーーーーーーーーー

僕は恩田陸のファンで,基本全作品を読んでいる。初期の瑞々しいミステリー,中期の圧倒的な勢いのSFファンタジー,後期(?)の結末ブン投げホラー,どの時期の作品も輝きも欠点も含めて好きだ。

そんな僕でも,「恩田陸はもうこのままかなあ?」と思っていたのだけれど,「蜜蜂と遠雷」で見事に化けてくれた。直木賞と本屋大賞受賞,メジャー映画化と,小説作品としては夢のような成功だ。

この短編集は「蜜蜂・・・」本編のスピンオフだ。色合いは向こうが黄色系,こちらが青色系とトーンは異なるが,フォントも含めてよく似せている。ファンにはたまらないプレゼントだ。


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さらにこの短編集は,なかなか凝った構成となっている。

最初の短編は,本編の後日譚で始まり,最後の短編が本編のプロローグで終わる。それなどを利用して,本編で語られなかった過去と未来をカバーしている。

本編を補完するスピンオフとしては,なかなかサービス精神にあふれている。


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・・・と,盛大に褒めたところで,この作品の欠点を述べると,とにかく内容が少ない。一応200ページの製本となっているけれど,版組み,文字サイズなど,ページ数を増すためにだいぶ工夫している。

なのであっと言う間に読めてしまう。内容は悪くないのだけれど,とにかく物足りない。

Wikipediaで,3年前に読んだ登場人物を参照しながら,楽しく読んだ。

「蜜蜂と遠雷」の成功は一度のことで,元通りの恩田陸が戻ってきた,というのをこの作品で感じたのは僕だけだろうか?


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各編について簡単に感想を述べる。

「祝祭と掃苔」:芳ヶ江国際ピアノコンクールの後,栄伝亜夜,マサル・カルロス・レヴィ・アナトールと風間塵の3人は,ピアノの恩師・綿貫の墓参りをする。最後に空の上から聞こえてきたのは?・・・長編を読むことで親しくなった登場人物たちのその後の姿を見ることが出来る。それだけでファンはたまらなく嬉しいが,その後にもつながりそうな表現があり,ぞくぞくする。

「獅子と芍薬」:ナサニエル・シルヴァバーグは,ピアノコンクールで二位しか取れなかった。彼と同率二位だったのが,日本人の少女・嵯峨三枝子だった。激しい性格の彼女に,ナサニエルは刺激を受け,そして惹かれていく。・・・いきなりの過去編だ。芳ヶ江で審査員だった2人の若い頃の物語だ。

「袈裟と鞦韆」:作曲家・菱沼忠明は,かつての弟子・小山内健次の葬式に出席した。大きなスケールの才能がありつつも,岩手のホップ農家に戻り,農業と兼業をしていた弟子は,結局約束の宮沢賢治をモチーフにした作品を作らずに死んでしまった。菱沼は,彼の無念を踏まえ「春と修羅」に取り組む。・・・これは単体でも通用する短編だ。作曲家の頭の中がどうなっているのか,教えられたし,何よりも全体に流れる哀感が胸を打つ。

「竪琴と葦笛」:マサル・カルロス・レヴィ・アナトールは,ジュリアード音楽院に入学が認められるが,担当教授・アンドレイ・ミハルコフスキーの指導に制約を感じていた。そんな彼を,ナサニエル・シルヴァバーグが連れて行ったのは,ダウンタウンのジャズクラブだった。・・・ジュリアードの王子の少し前を知ることが出来る。天才ばかりが登場するのは恩田陸だなあ。

「鈴蘭と階段」:ヴァイオリンからヴィオラへと移行しようとしている浜崎奏は,自分とパートナーとなるべき楽器を選ぼうとしていた。決めようとしていた直前に,彼女に電話をして来たのは,芳ヶ江のランカーたちだった。・・・作曲家のエピソードでも教えられたが,演奏家と楽器の相性という新しいエピソードを教えられた。本編キャラの浜崎奏に良い流れが来て良かった。

「伝説と予感」:巨匠ピアニストのユウジ・フォン=ホフマンは,シューマンの古い楽譜を探すためにヨーロッパのマナーハウスにいた。ある朝,彼が聞いたのは,昨晩自分が弾いた他に誰も知らないはずの旋律だった。ピアノの前で出会った少年の名前は,風間塵と言った。・・・短編にも満たない逸話だが,ホフマンと彼の最後の弟子・風間塵との出会いが語られている。これで物語は”予感”で終わり,本編の後日譚だった”祝祭”とつながる。





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Last updated  2020.06.11 20:50:48
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