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カテゴリ:きらきらポストモダン推理
朱川湊人の長編ミステリーを読んだ。
〇ストーリー ネットカフェ難民の世年・ユキジは,女性に暴行されている青年を助けたことがきっかけで,ちょっと変わった人々がいるシェアハウス〈猫の森〉で暮らすことになる。平和な日々は,あることがきっかけで終わりを告げ,ユキジたちは・・・ ーーーーーーーーー 現代を舞台にした若者たちの物語だ。 まずそれだけで珍しい。現代,若者,長編,異例ずくめだ。・・・ちょっと大げさかな? 朱川湊人と言えば,切れ味の良い短編,ホラーテイスト,昭和レトロ,ノスタルジー,ユーモア,というところが持ち味だが,不得手なところを攻めていて感心した。 ーーーーーーーーー 貧困生活から,ネットカフェ難民になった主人公,記憶喪失の青年・ガブリエルを助けたことがきっかけで,八王子のシェアハウス〈猫の森〉に住むことになる。そこには,同じような境遇の若者がいる。 冒頭の秋葉原から八王子まで,かなり強引な展開だが,その後はゆったりとした時間が流れる。 いくつもの謎があり,それが最後に次々と明らかになる。 ーーーーーーーーー この作品はどうやら「本日、サービスデー」に含まれていた短編と同じ世界に属しているらしい。なので,冒頭から悪魔女・サターナと,元天使の青年・ガブリエルが登場する。 とは言っても,主人公・ユキジがそれを最初から信じるワケではないので,サターナはカツアゲ女,ガブリエルは記憶喪失のメガネ男として認識されている。 いろいろな謎はあるのに,その追及はずっと後回しにされるので,読んでいて少しイラっとする。短編を長編に伸ばしているのか?,という批判があったが,それは少し的を得ていると思った。 ーーーーーーーーー ラストに向けての重さ,切なさの加速度はなかなかなものだ。 ライトな味わいで来た作品で,その重さをどのように処理するのか心配をしていたが,変化球のような軟着陸とは言え,納得の行くラストとなっていた。 朱川湊人にしては剛腕だった。長過ぎるという批判も分かるけど,印象に残った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.07.18 19:04:58
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