正統派リメイク、PLUTO 「史上最大のロボット」より
手塚治虫が代表作と言われたくない「鉄腕アトム」の中の「史上最大のロボット」をリメイクという形で浦沢直樹氏が「PLUTO」を描いている、というのはかなり知られていますが、オリジナルを知って読むのと知らずに読むのとでは、どちらが楽しめるのでしょうか。オリジナルをただ読んでも、浦沢作品のような深みが感じられないかもしれません。ロボットの人権、反ロボット主義者、ロボットのフォーマットを踏み外す制作者が絡み合い、人間にあまりにも近いロボットがすべて承知の上で解決策を探っていくのですが、浦沢版でのディティールは淡々と「リアル」です。でも手塚オリジナルにもすべてが描かれているんですよ。あの円っこいマンガ絵にだまされてしまいがちですが、すべての要素はオリジナルにも描かれています。現在浦沢氏によって表現されているディティールは、当時のマンガ雑誌に載りきれるものではなく、また読者の多くにも着いていけるものではなかったでしょう。まさしく現代にリメイクした「史上最大のロボット」です。