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カテゴリ:プロレス
2006.5.3 B.レスナーVSG.バーナード
最強外国人レスラー決定戦'06 4月、新日本プロレスは、IWGPチャンピオン、ブロック・レスナーへの挑戦者決定トーナメント(NEW JAPAN CUP)を行った。勝ち残ったのは、ジャイアント・バーナード、よって5月3日のタイトルマッチは外国人同士の対戦となった。 これは積極的なカード編成とはいえないだろう。レスナーとバーナードの闘いが見たいとの気運が高まった気配はない。すでに、新日のトップ・グループである永田や中西は、レスナーに完敗している。仲村は、レスナーへのリべンジに備えてアメリカでトレーニング中である。ここは、消去法で残った外国人レスナーのバーナードで急場を凌ごうという魂胆を感じてしまう。 黄金期の対決! ハンセン ホーガン ジャイアント バックランド かつて新日プロレスには、外国人対決の名勝負物語があった。印象的なのは、ハンセン、ハンセン対ホーガン、対バックランドハンセン対ジャイアントなど、ハンセンがらみの試合である。 まず、ハンセン対バックランド(1980年9月)。これは、アマリロ、ファンク道場の同期生の対決だった。同期生といっても、ハンセンはヒール(悪玉)でパワー・ファイター、バックランドは典型的なベビー・フェイス(善玉)のヒーローで、テクニシャンタイプだ。体型もハンセンはあんこ形(でっぷり体型)で、バックランドはそっぷ形(スマート体型)に分類できる。実に対照的な二人である。ところが、この試合では、バックランドがハンセンをアトミックドロップで担ぎ上げるなどして怪力振りを見せれば、ハンセンは意表をついて軽々とドロップキックや回転エビ固めを見せた。ハンセンの運動能力の高さを目の当たりにして、これまでにない新しいセンスをもつレスラーの出現を感じた。 ハンセン対ホーガンの初対決は、第4回MSGシリーズ(1981年5月)で実現した。この試合の焦点は、タッグパートナー同士のハンセンとホーガンの闘いであることと、猪木を破ってNWFタイトルまで獲得した外国人エースのハンセンに対して、後輩のホーガンがどんな闘いを挑むか、にあった。確か“プロレスの味方”村松友視が、壮絶な自爆合戦と評していた。巨漢同士がエルボー・ドロップをかわしかわされ、フライング・ボディ・プレスをかわしかわされして、大迫力の闘いを見せつけた。テレビ中継のなかった試合で、超満員の後楽園ホールの階段で座って見た。 そして、ハンセン対ジャイアントは、かの田園コロシアムでの激突だ(1981年9月)。223cm、236kgのジャイアントは巨漢揃いのレスラーの中でも規格外の存在である。当時、大ブレイク中のハンセンが、ジャイアント相手にどこまでやれるかに興味が集った。ハンセンは期待に違わぬ意欲的な闘い振りを見せて大活躍、ジャイアントと五分以上に渡りあった。ジャイアントだって、ハンセンを関節技で締め上げた。だが、あのジャイアントが、ハンセンの怒濤の攻撃にがっくり膝をつき、ボディスラムで投げられ、ラリアートをぶち込まれた。ハンセンの大健闘により、歴史に残る名勝負となった。 ハンセン、バックランド、ホーガン、ジャイアント、彼らは、ネームバリューがあった。なんといっても金曜8時のゴールデン・タイムに登場していた顔ぶれだ。観客は単純にスター・レスラー同士の対決を見に集った。また、三試合ともに売りにしていること、闘いの視点がじつにシンプルで、観客にとって分かりやすく、感情移入がしやすかった。レスラーたちは、それぞれが日米のマット界でトップを張るプライドがあって、ド迫力の試合を展開した。 レスナー対バーナード・・・・ 今回のレスナー対バーナードは、現在の新日本プロレスにおける外国人レスラーのナンバー1決定戦である。だが、レスナーもバーナードも、悲しいかな一般にはあまり知られていない。だから、最強の闘いと言っても話題性が低い。事実観客動員数は、3500人。寂しい数字だ。 レスナーは世界標準といわれる。世界標準という言葉がレスラーの強さを表現するのに適当かどうかはよくわからない。ともあれ別名永久王者を名乗り、無敵のイメージで売り出している。そうなるとおいそれとは負けることができない。これは痛し痒しだ。完璧な強さをもつものには、逆にドラマを見出しにくい。ドラマが見えなければ、観客は引いてしまう。 今回、ドラマはバーナードにあった。調印式に新日本プロレスのジャージを着て現れ「新日本にベルトを取り戻す」と新日本代表宣言である。新日のためにがんばる心意気が嬉しいではないか。しかも、バーナードは左腕を負傷しているのだ。 ここまで観客のバーナード贔屓の条件が揃っていたのだから、試合展開でうまく見せてほしかったなぁ。負傷箇所を攻撃され、のたうちまわりながらも、新日本のレスラーの声援を受け、気力を振り絞って闘い、いつのまにかレスナーを追い詰めている。そんな闘いを見せてほしかったなぁ。それでレスナーに勝てば、観客は大喜びだ。その場合、新日本代表であることをもっと強烈にアピールする演出が必要だ。新日本のジャージーを着て、インタビューでボソっと喋った程度ではわからない。 確かに試合は、熱戦といえば、そういえなくもなかったです。お互いに技を出し合い、受け合ったけれど、決して強く印象に残る試合ではない。一生懸命プレイするだけでは、他のスポーツと同じである。人の心の琴線を刺激してこそプロレスである。 唯一心に響いたのは、バーナードが最初のバーディクトをかわした場面だ。バーディクトには、正直いって、破壊力を見て取ることができない。けれど、バーナードが必死に逃れようとしたことによって、間接的に技の恐さを感じることができた。 前例を踏襲すれば、そこそこうまくいくと考えたら安易すぎる。時代は変わり、過去とは様々に条件が違うのだから。そこんとこよく考えて、エモーションを熱くするプロレスを見せてくれ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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