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November 19, 2006
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カテゴリ:プロレス映画
 ホネツギマンは、徹底的に強い!やっぱりプロレスラーは、強くなければいけない。

 プロレスを「八百長」と言ってしまうと、何か悪いことをしているような気になります。「八百長」には、イカサマ、インチキと同じような意味があるからです。プロレス団体には、誰かをだまして儲けようなどという意図はありませんし、プロレスラーは悪人ではありません。
 では、プロレスは「ショー」である、はどうだろう。なんだか手抜きをしているように受け取れます。「ショー」は、もともと芸能界の用語なので、格闘技であるレスリングを「ショー」と呼べば、軽い印象は否めません。
 最近はプロレスのことを「エンターテインメント」と称することもあります。そうか、プロレスはエンターテインメントだったのか、などと妙に納得したりして。何か、エルビス・プレスリーのラスベガス公演と肩を並べたような気になりますが、はたしてそれでいいのか。
 
 プロレスは、見せる要素が強くあります。けれど、試合が、筋肉マンの格闘技ごっこのような馴れ合い勝負になっては面白くありません。レスラーと名乗る以上は、強さを追求する緊張感をもちつづけてほしい。ドラマチックに試合を演出する部分がありながらも、いざ強さを競う部分になれば負けない、そんなレスラーがかっこいい。

 かつて父が、テレビを見ながら言っていました。「プロレスラーのようなゴツイ奴らが、いつも本気で殴りあったり、投げ飛ばしたりしたら、相手が大怪我をしてしまう」。
プロレスラーは、重いバーベルを持ち上げるなどして、限界を越えた鍛え方をしています。プロレスは、喧嘩さながらの迫力があります。エキサイトして思いっきり、全力を込めて素手でブン殴ったり、関節を捻じ曲げたりしたら、鍛え上げたレスラーといえども壊れてしまいます。そういう事故が起きないのは、いつもレスラーには、冷静な部分を備えるようトレーニングされているからでしょうか。

 プロレスラー「ホネツギマン」は、強いショックにより、自制心を失ってしまいました。脳みその中の手加減項目などは検索不能ですから、強い、強い。カイロプラクティックの整体師もしているので、ゴッツイレスラーの骨や関節でも簡単に破壊してしまいます。

 ホネツギマンことエドワードは、子供の頃、よくいじめられました。強くなるためにレスリングを習い、プロレスラーに憧れていました。彼が読んでいる分厚いプロレスの本は、図書館で見たことがあります。自分が知っているマニアックな洋書が映画に出てきたので、なんだかとっても嬉しかった。
 同時に彼は、カイロプラクティックに強い興味をもち、整体師をもめざす。しかし、彼の父は、家業を継いで薬屋になれと言う。父親と対立し、エドワードは家を出る。その後、昼は腕のいい整体師、夜はプロレスラー“ホネツギマン”として活躍する。やがて最愛の妻キムの妊娠をきっかけに年老いた両親の住む故郷に戻る。すべてを赦し合い、感動の再会に幸せの絶頂のエドワードの家族。
 ところが、好事魔多し、月に叢雲、花に風。ホントにいやなことわざですが、世の常です。
 エドワードの留守にいきなり松葉杖を突きながら現れた脊椎破裂患者のスティックスが、ささいなことで因縁をつけ、父親の薬屋を買い取りたいと強引に迫る。父、母、そして身重の妻が断固として拒否すると、スティックスは、松葉杖に仕込んだ改造銃を乱射して、店を破壊するばかりか・・・。
 帰宅したエドワードは、3つの遺体袋を見てしまう。ショックのあまり、通常の思考力を失ってしまった。彼は ホネツギマンとして“ビッグ・タイム・プロレス”のリングに上がると、試合に乱入し、対戦中のレスラーも、レフェリーも、さらに止めに入った全レスラーの骨や関節をバキバキにしてしまいます。

 これは経験談。プロレス会場で、クレージー・ファイター系キャラクターのレスラーが、試合後に客席を暴れまわりました。「危ないですよ」「逃げてください」そんなリングアナウンサーの警告も含めて、演出だと思いました。レスラーが本気で観客に危害を加えることなんかはないさ、などと笑いながら眺めていたのです。危機感のない観客たちに業を煮やしたリングアナがついに絶叫しました。「こいつは半分キ○×△なんだから!」。その発言に観客たちは一斉に大慌てで逃げました。もし、「こいつはキ○×△なんだから!」だったら、席を立つことはなかったと思います。“半分”というのがなんともリアルだったわけです。

 スティックスたちは、自分のフランチャイズの薬局チェーンを非合法的な手段を使って拡張しようとしただけでなく、麻薬の密売も行っていた。復習の本能(そんなものあるのか?)に突き動かされるようにスティックスを追いかけ、麻薬取り引き現場に現れたホネツギマン。フルネルソン(首肩固め)でスティックスを揺さぶると、アラ不思議スティックスは松葉付けを突かずとも、歩行ばかりかダンスのステップまで踏めてしまう。卓越したエドワードの整体技術を考えると、この展開は期待通り。しかし、体が治っても、スティックスの心はダークサイドのまま。エドワードに銃を向けた・・・。

 死んだと思っていた妻が実は助かっていたとわかり、正気を取り戻すエドワード。病院のベッドに横たわる妻に囁く「弁護士の話では、心神喪失状態が認められて、罪にはならないそうだ」確かにそうだと思う。両親を亡くし、子供が生まれるエドワードの立場は守られた。よかったね。
 しかし、レスラー全員が壊されてしまい、おそらくは興行不能に陥った“ビッグ・タイム・プロレス”の立場はどうなっちゃうの?

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Last updated  November 19, 2006 04:37:58 PM
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