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体感!JUNKムービー

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June 3, 2007
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カテゴリ:ヒーロー映画
 釣りをする、人と会話するなど、それぞれに楽しい時間があると思います。私は、虚構の世界に浸ると心が安らぎます。怒濤の日常生活を送っている中で、映画や小説を愛でる時間に到達すると、生クリームを口に含んだように強ばった気持ちが溶けていきます。
 けれど、テレビのドラマやサスペンスは見ません。テレビは、水道やガスのように生活の中に入り込んでいるから、ありがたみがありません。コマーシャルを見せられれば、否応なく現実が迫ってきます。映像作品は、映画館に出掛けたり、レンタルビデオを借りてきたりして、虚構の世界に旅立つための儀式が必要です(なんてオーバーか?)。
 ビデオを借りるときには、より虚構性の強い内容を求めるためか、名前の知られていないマイナーなタイトルに手が伸びます。そういった作品を見てみると、劇場映画ではなくテレビムービーだったいうことがときどきあるのだ。映画作品とテレビ番組では、役者やスタッフ名を流すクレジットタイトルの見せ方が、黒豚ソーセージと魚肉ソーセージほどの違いがあります(ま、とにかく違うってこと)。また、テレビムービーはコマーシャルの切れ目があるんですよね。モニターに映してみて、テレビ用だと気づいたときは、Tシャツを後ろ前反対にかぶったときのように自分を呪いたくなります。
 「ライブラリアン 伝説の秘宝」は、後でわかったのですが、テレビムービーでした。でも、これはよかった。子供の頃、すっかり洋画を見る気分でアメリカのテレビ番組を見ていた “お気楽”感覚が蘇りました。(「0011ナポレオン・ソロ(1964~1968)」「宇宙家族ロビンソン(1965~1968)」などが好きだった。ナポレオン・ソロはちょっと時間が遅かったので、あまり見せてもらえなかった。友達は「ザ・ガードマン(1965~1971)」「キイハンター(1968~1973)」などを話題にして騒いでいた。けれど、日本の番組はスケールが小さいと見下していた)
 主人公フリン・カーソンは、本の虫、学問オタク。一見教員かと思われるほど年齢がきているが、じつはまだ学生。ひとつの大学に長く在籍しているようです。モラトリアム人間の彼は、教授から「社会に出て現実に揉まれろ!」とついに大学を追い出されてしまう。途方に暮れるフリンのもとへメトロポリタン図書館から司書の採用面接案内が届きます(白紙に文字が浮き出てきて、ファンタジックな内容であることが示唆される)。面接において鋭い観察力を示したフリンは、大勢の中から採用がきまります(「メン・イン・ブラック(1997)」で警官ジェームズがMIBに採用される展開に似ている)。
 この図書館、「契約の匣」「パンドラの箱」「王様の剣」など、伝説上にしかないと思われていた宝物が地下深く秘蔵してあるのです。司書の仕事は、この世間に知られれば大混乱を起こしかねないまさに神秘の宝物を守ること(博物館ではなく、図書館に保存してあるのはなぜ?)。そのために世界100カ国の教育機関の中から、学び続ける人としてフリンが選ばれたのだ。折しも、「ロンギヌス(運命)の槍」の一部が秘密結社“蛇”に盗まれる。
 運命の槍は、強力なパワーを秘めているので、3つに折って世界各地に分散されています。フリンは、“蛇”による「運命の槍」の完全化を阻止するために、ジャングル、雪山を巡って大活躍!
 つい先日までダメオタクだった男が、スーパー司書(ライブラリアン)として大活躍する。大盛りカップ焼きそば級に虚構性があふれていて、とても楽しい(潜在能力が発揮されたのね!?)。
 ここで東宝映画「東京湾炎上(1975)」について語らせていただきます。石油タンカーがテロリストに乗っ取られる。もし、タンカーが爆破されたら、原油が流れ込むなどして、マッチ一本で蓮鎖的な爆発が起こり、関東一円は火の海になってしまうというスリリングなお話。
 主演は石油技師役の藤岡弘。ストーリーを省略し、テロリストを倒したあとのことです。原油タンクに仕掛けられた爆弾を取り除かなければなりません。自衛隊の特殊部隊が集まっている中で、「よし、俺が行こう」と藤岡弘が潜水服を身につけてタンクの中へって、なんで素人の藤岡が原油に潜り、爆発物を処理するわけ?仮面ライダー本郷猛を演じているからか。火事場でも、消防隊員をさしおいて、藤岡弘が消火ホースを構えちゃうのか?(藤岡氏に責任があるわけではありません、念のために)
 シリアスな設定の「東京湾炎上(1975)」でこの展開は、好意的に解釈しようとしても、食物繊維かたすぎで飲み込めません。対する「ライブラリアン 伝説の秘宝」はファンタジックな作品世界なんだから、主人公が突然大化けしても、“飲むアイス”クーリッシュ宇治抹茶味のように喉ごし爽やか。
 フィクションだからって、主人公がオールマイティというわけではない。魔法の世界にしたならば、何でもできてしまうっていうご都合主義も許しません。でも、「ライブラリアン 伝説の秘宝」の虚構設定は、そのゆるさがぬるま湯に漬かっているようでけっこう快適。コマーシャルの切れ目もないし、クレジットタイトルの出し方も映画に近い(アメリカではテレビ番組でも、その他の国へは、劇場映画用に輸出したのかも)。
 ガスや水道のように家庭に供給されるから、エロもグロもない、お気楽テレビ・ムービーなのです (エロ、グロは映画の特権。嫌いなわけじゃありませんが、刺激の強さはそれなりにストレスがあります) 。
 フリンを演じるのは、テレビドラマ「ER緊急救命室(1994~)」で医師を演じるノア・ワイリー。といわれも、見たことがないので知らない。悪役には、テレビドラマ「ツイン・ピークス(1990~1991)」のカイル・マクラクラン。劇場版「ツイン・ピークス~ローラ・パーマー最期の7日間(1991)」は見ました。それより、カイル・マクラクランといえば、ノンストップ・ムービー「ヒドゥン(1988)」でしょう。
 たまにはテレビもいいもんだね。

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Last updated  June 3, 2007 11:52:35 AM
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