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カテゴリ:ヒーロー映画
「ニンジャvsカンフー」のタイトルを見たとき、そそられてしまいました。荒唐無稽な映画を好む者の悲しい習性です。けれど、わずかに残った理性が、借りるのを控えさせました。これまでの経験から、この手の映画には失望や落胆することが予想されたからです。
前回「メタルマン」についてブログを書きました。そのとき、困ったことに、誰も見ないような怪作系の映画にはまりそうな自分を感じていました。そして、結局見ることにしたのです。 このDVDは、ちょっと前まで新作の棚にありました。借りようと思ったときには、そこにはありません。では、準新作のコーナーかな、と探しましたが、やっぱりありません。見つけたのは一般作のコーナーでした。つまり、準新作に置く価値はないということです。 さて、「ニンジャvsカンフー」は、これまた堂々たる怪作でした。何が困ると言って、ストーリーがつながらないんですよ。 女刑事が出てきます。この人、過去に父親を殺されたことが心の傷になっているとかなんとか、人物について語られます。だから、この人がストーリーにからんでくると、当然思うわけなのですが、ずっと画面に出なかったかと思うと、突然思い出したように銃撃戦に参加したりして、全然有機的な関わりはありません。 ストーリーの骨子らしきものとしては、二百年くらい前から、ダーク・モンク率いるブラック・マスク団と正義の集団フィストが、光と影、善と悪の闘いを繰り広げていると、そんなところです。 フィストは、司令塔のサイコを中心に、メンバーはビッグMF、エース、ポイントマンです。この人たち、秘密戦隊として、覆面をして正体を隠しているはずなのに、テレビのインタビュー番組出ちゃったりするんです。 まあ、テレビ局が独占極秘インタビューに成功したのかもしれません。しかし、そのインタビューの中で、自分たちの日常的な職業や武器や闘い方まで明かしちゃうんです。「太極拳を教えています」って、敵が手がかりを掴んだらどうるすの。「ぼくの武器は、投げナイフだ」「ボクはアンクルナイフだ」「両刃の剣だ」って実物を見せたりします。そして、得意技まで披露してしまったら、どこが秘密戦隊なんだ!敵に知られて、対策を立てられたら困るだろうに。そこまで考えないのかね。 フィストの面々は、サイコの司令で事件現場に駆け付けます。 エース「5分で着く!」 サイコ「2分半で行かないと手遅れだ!」 ポイントマン「2分で行く!」 一刻を争うできごとなようで、何が起こったかと思うわけです。 そうしたら、個人事務所に強盗が入って、従業員の財布の中身をもっていっただけなのです。別に重要機密や大金が盗まれたわけでもなく、人も殺されていない。そりゃあ事件にはちがいないですが、それほど大騒ぎするようなこっちゃない。世界的陰謀団ブラック・マスク団の仕業としては、じつにせこい悪事です。幼稚園バスを乗っ取るショッカーと同じくらい情けない。 ブラック・マスク団との高僧の最中で、司令塔のサイコが撃たれます。殺し屋は、フィストの隠れ家に侵入してきたのです。これは、一大事でしょう。どうして隠れ家がわかったのか。どうやって侵入したのか、その説明は全然ありません。そして、フィストが警戒する様子もなければ、「フィストの基地がわかったぞ」とブラック・マスク団が攻撃してくる様子もありません。ただ、撃たれたという事実だけがある。 撃たれたサイコは危篤状態です。ビッグMFは、サイコが死なないようにタイへ延命の秘術を獲得しに出かけます。ところが、修行半ば(サイコが死にそうな割にはずいぶん悠長なことをやっていますが)で、サイコが意識を取り戻します。「サイコがテロ攻撃を予知したすぐ戻ってこい」連絡が飛びます。「わかった、すぐ帰る」いったいビッグMFは何をしにタイに行ったのでしょうか。 いよいよ最終決戦。サイコは、ビッグ・マスク団のヒットマンに銃を突きつけられます。そこへ何故か突然女刑事が現れ、逆にヒットマンに銃を向ける。しかし、そこをまたブラック・マスク団が取り囲む。二重、三重のどんでんがえし、絶体絶命の危機。なんとそれを救ったのはサイコを狙った殺し屋だ。殺し屋は、自分が殺した相手が幼なじみだと分かって改心し、正義のフィストに加勢したのでした。うへぇー。 ビッグMFは、ダーク・モンクとの一騎打ちに挑みます。このバトルが「ニンジャvsカンフー」のタイトルになっているわけです。しかし、さすがにダーク・モンクは強い。危うし、ビッグMF。そこを救ったのは、謎の女拳士、顔は見えない。あっさりとダーク・モンクを倒して去っていく。ちょっと待て。あんた誰なの。そんなに強い人がいるんだったら、何もこれまで二百年も闘いを続けなくてよかったわけじゃないかぁ。 この映画は、その場面だけがおもしろければ(おもしろくないけど)、前後のつながりはどうでもいいという感じですね。 整合性を吹っ飛ばしてしまった、まさに怪作。ずっと記憶に残ります。できればDELETEしてしまいたいのですが。 人気blogランキングに参加中。クリックしてね。ご協力、よろしくお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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