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March 7, 2009
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カテゴリ:アクション
 満たされない貧弱な日常生活を送っていた者が、じつは特殊能力をもち、特別な使命を帯びていた、こういった話の展開は大好きだ。いかにも虚構の世界です。
 東映映画、実写版「黄金バット(1966)」では、冒頭天体マニアの少年が惑星イカロスの地球接近を警告する(が、信じてもらえない)。ところが少年は、何者かに拉致されてしまいました。そして、連れて行かれた先が国連秘密研究所。じつは少年は、才能をかわれてスカウトされたのだった、という展開がありました。ぼくも、誰か拉致して、地球規模の重要な役割を背負わせてくれないか、と思ったものです。
 「ウォンテッド」でも、ウェスリーは惨めな日常生活を送っていました。ところが、彼は、父の才能を受け継いだ希代の殺し屋であることがわかります。そして連れて行かれた先が、西洋版大規模必殺仕掛人組織みたいなところでした。
 これは好みの滑り出しです。
 この映画、CGを駆使したガンアクション、カーアクションが、映画らしいぶっとんだ虚構世界を見せてくれるのも楽しい。
 たとえば、とんでもない遠距離から三段ロケット式の弾丸が飛んできて、標的の頭にあたります。あるいは、併走する車に乗っている標的を射殺しようとしたが、防弾ガラスだった。そんなもんで、横回転で相手の車を飛び越えて、開いているサンルーフから弾丸をぶち込みました。などなど。
 ですが、残念なことに、ボクは途中からペースダウンしてしまいました。
 まず、アンジェリーナ・ジョリー。「トゥームレイダー(2001)」のララ・クロフトは、なんとも魅力的なお顔立ちでした。父親のジョン・ヴォイドがスクリーンに顔を出すと、否が応でも「似ている」と思わざるを得なく、女版ジョン・ヴォイドが気持ち悪くもあったのですが、それでも溌剌とした表情に引きつけられるものがありました(どっちなんだ!?)
 しかし、「ウォンテッド」のアンジェリーナ・ジェリーは、厚化粧で頬がこけて、なんだか魅力薄。これがまず、第一の難点でした。
 つぎに、CGによるあり得ない映像は嬉しいのですが、だからといって何をしてもいいというわけではありません。
 ウェスリーは、疾走する特急列車の中で父を殺した男を追いつめ、撃ち合いとなります。その影響で列車が谷間にかかるや、列車は脱線し、車両が千尋の谷底に落ちていきます。
 これは、特撮映画ののりです。「宇宙大戦争(1959)」では、宇宙人ナタールが、山間の鉄橋を空中高く舞い上げてしまい、おりしもやってきた特急列車が谷底に転落してしまいました。こういったスペクタクル・シーンは、宇宙人や怪獣などの超常的な存在が及ぼす大惨事であってこそ、相応の手応えがあるっていうものです。
 「ウォンテッド」と同じように、CGによる派手なアクションを見せてくれたのは「シューテム・アップ(2007)」。こちらは日常の範囲内で、非日常的なアクションを見せてくれました。つまり、物事の程をわきまえていたといえるでしょう。だから、ありえない映像でも違和感がありませんでした。「ウォンテッド」は、映画のジャンルから飛躍しすぎたのではないかと思います。
 さらに、ストーリー展開的にいえば、せっかく闇の暗殺組織にいながら、内部紛争にしてしまったところが誠に残念。やっぱり、社会に害なす強大な悪を成敗するような話にしてほしかったな。

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Last updated  March 8, 2009 06:36:18 AM
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