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テーマ:DVD映画鑑賞(14216)
カテゴリ:ヒーロー映画
Z級映画、とんでも映画、アホ映画、ジャンクムービー。呼び名はいろいろあるけれど、 低予算で、特撮はしょぼく、設定が超ご都合主義などの特徴をもつ楽しい映画のことである。 『スペース・インベージョン』、このタイトルを見たときは、てっきりニコール・キッドマン主演の『インベージョン(2007)』みたいな宇宙人の侵略もの、もしかしたらその二番煎じではないかと思った、この手の映画にはよくあることだ。しかし、予想ははずれた。なんとぼくの好きなスーパーヒーローものではないか。これは嬉しい誤算だ。 登場人物は、スーパーヒーロー、アトム・ナインに変身する科学者ゲインズ、その彼女マーゴ、そして悪役フラッグ。これは主な登場人物という意味ではない。ほぼこの3人で地球壊滅の危機とそれを救う映画ができてしまうのだから素晴らしい。 一般にスーパーヒーローの適役はスーパーヴィランと呼ばれる。フラッグが、スーパーかどうかは知らんが。 科学者ゲインズ博士は、隕石によって運ばれてきた宇宙最古の金属生命体を所有していた。悪の科学者フラッグは、金属生命体を手に入れようと手下を送り込む。 黒い影のような実体の定かではない手下は、研究所を爆破する。重傷を負ったゲインズ博士だが、金属生命体が寄生し一命を取り止める。博士が連れ去られたマーゴを助けたいと思考したら、寄生した金属生命体が変形し、突然コスチュームとジェットパックが出現。「ぼくはアトム・ナインだ」あっさりスーパーヒーローに変身した。 フラッグは、自分を地球の支配者に指名しろと国連に迫るが、どこの馬の骨とも知らない男の申し出は当然無視される。フラッグは報復措置として、究極兵器プラズマ・ビームで月を引き寄せて地球にぶつける作戦に出る。 さあどうするアトム・ナイン。 なんと、アトム・ナインは勇猛果敢に飛び立つと、迫り来る月を一人押し返そうと試みるのだ。 まあ、いかに金属星人が寄生しているとはいえ、それは無理だろう。しかし、アトム・ナインは「ジェットパックのパワーを最大にしろ」と念じる。するとジェットパックが巨大化。月と同じくらいの大きさのジェットエンジンが二つ出現する。そして、めでたく月を押し戻してしまうのだ。 これは、かの東宝特撮映画『妖星ゴラス(1962)』を彷彿とさせる。地球に衝突する軌道を描く妖星ゴラス。この危機を回避するためには、地球にロケットエンジンを取り付けて、地球自体を移動させてしまう。じつに衝撃的だ。凄い映画でしょ。 『妖星ゴラス』に勝るとも劣らない。スーパーヒーロー、アトム・ナインの大活躍(一人で巨大ジェットエンジンを背負って月を押し返してしまう)も、忘れようったって忘れられない、いやでも脳の海馬を刺激する映画だ。 ひとつ言わせてもらえば、子供の頃にマンガで読んだけど、あのジェット推進10万馬力の鉄腕アトムも空気のない宇宙空間では前に進むことはできなかった。ジェットの限りというでしょ。ウルトラマン第16話「科特隊宇宙へ(1966)」では、ジェット・ビートルを大気圏外に飛ばすためにハイドロジェネートロケットエンジンを装着した。 それなのに、アトム・ナインは宇宙空間をジェットで飛行し、あまつさえジェットの力で月まで動かしちゃうんだから、じつに痛快。 きっと監督・主演のクリストファー・ファーレイは、低予算の環境でやれることはすべてやった、との満足感、達成感を抱いているだろう。『スペース・インベージョン』は、そんな明るいスーパーヒーロー映画だ。 次回は、一転メジャー超A級スーパーヒーロー作品『アイアンマン2(2010)』を紹介します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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