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October 20, 2013
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カテゴリ:ヒーロー映画


 映画は、音楽によってエモーションが高揚する。
 テーマ曲ぬきには語れない映画がある。

 あの東宝特撮の迫力は、雄大な伊福部昭のマーチがあってこそだ。
 海底軍艦が重低音とともに出撃するシーンは、いつ見ても気持ちが奮い立つ。

 「ジェームズ・ボンドのテーマ」が鳴らなければ007とはいえない。
 『スカイフォール』は新兵器、秘密兵器もボンドガールもない。しかし、懐かしのアストンマーチンが登場し、ボンドとともに疾駆する。そのシーンに「ジェームズ・ボンドのテーマ」がかぶさってきたから、もう感涙ものだ。

 「ロッキーのテーマ」も、映画をいっそう引き立てている。
 ロッキーの血と汗、不屈のトレーニング、栄光が一曲にすべてイメージされている。燃えるぜ。

 だから、シリーズものの映画など、つきものである名曲がどこで高らかに鳴り響くか、期待を込めて見ているわけだ。

 ところが、肩すかしをくう場合だってある。
 『グリーン・ホーネット』のテーマ曲は、あの『キル・ビル(2003)』でも流れた軽快な曲だ。
 子供のころ、テレビの『グリーン・ホーネット』を見てテーマを聞き、胸を躍らせていた。
 だから、映画『グリーン・ホーネット(2011)』では、当然グリーン・ホーネットやカトーの活躍とテーマ曲とがツー・プラトンでマイ・ハートを直撃するものと思っていた。
 しかし、テーマ曲が鳴ったのは、事件が解決してから、申し訳程度に流れたのだった。
とぉっても残念。

 そして、『ローン・レンジャー(2013)』。
 ローン・レンジャーといえば、そのテーマ曲は「ウィリアム・テル序曲」。
 小学校低学年のとき、ローン・レンジャーのテーマ曲の題名が「ウィリアム・テル序曲」だということをなぜか知っていたようだ。
 音楽の授業のとき、先生がレコードをかけてくれることになり、「何か聞きたい曲はないか」と子供達にリクエストを募った。
 そのときすかさず「ウィリアム・テル序曲」とこたえた。
 まさか鉄人28号とかエイトマンとかのアニメのテーマソングを言うこともできず、音楽の授業にふさわしいのは「ウィリアム・テル序曲」だろうと幼いながらに考えたわけだ。正直言って、ローン・レンジャーのテーマ曲が「ウィリアム・テル序曲」であるという確かな自信があるわけではなかったのだが。
 しかし、それは正解だったのだ。先生が「すごい曲を知ってるね」とかなんとか言いながらかけてくれたのは、あのテレビの『ローン・レンジャー』で流れる曲だった。そのとき、こちらはオペラの曲と認識していたわけではまったくないのに、先生は何か勘違いをしたのだろう。
 そんな思い出がある。

 さて、映画『ローン・レンジャー』だ。
 映画の始めの方で、「ウィリアム・テル序曲」が流れる。それほどテンションが上がる場面というのではない。
 もしかして、「ウィリアム・テル序曲」はこれで終わりか、との危惧が沸いてきた。
 そして、映画自体も、なんとなくぐだぐだして、ヒーロー=ローン・レンジャー及び相棒のトントがとりたてて活躍をするわけでもない。
 黒マスクをつけたままの顔を出して穴に埋められたりして、ローン・レンジャーはダメダメヒーローの趣さえ醸し出している。
 
 と、思っていたら、クライマックス、愛馬シルヴァーにまたがったローン・レンジャーが颯爽と登場し、そこから「ウィリアム・テル序曲」が流れ始めた。
 そうしたらローン・レンジャーもトントも、ありえないド派手ぇなアクションで、軽快、痛快、大活劇。
 最後の方に来て、ヒーロー・アクションとテーマ曲とを十分堪能しました。

 ハイヨー、シルヴァー!


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Last updated  October 20, 2013 06:20:01 AM
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