|
テーマ:DVD映画鑑賞(14213)
カテゴリ:SF映画
1970年代に「エアポート・シリーズ」と呼ばれた映画があった。 それらには、バート・ランカスター、ディーン・マーチン、チャールトン・ヘストン、アラン・ドロン、ジャクリーン・ビセット、カレン・ブラック、シルビア・クリステルなど、綺羅星のごとく当時の有名俳優が出演していた。 『エアポート’75(1974)』を見に行ったとき、当時は入れ替え制や全席指定というものはなかった。いつ映画館に入ってどこに座ってもよかった。だから上映中だったけど客席に入ったのだけど、そうしたら、いきなり客室乗務員のカレン・ブラックが必死の形相で操縦桿を握るアップが映し出されていた。 機長(テレビ番組『FBIアメリカ連邦警察』のエフレム・ジンバリスト・Jr)らが操縦不能状態になり、CAのナンシー(カレン・ブラック)がボーイング747旅客機を飛行させていたのだ。 カレン・ブラックは、美人ではないと思うが色気のある女優さんで、男臭いチャールズ・ブロンソンに対して、女臭いといわれていた。 暗闇の中で大スクリーンに映った女臭い女優さん、ある種の衝撃があったね。 そして記憶に残るのが、『エアポート’80』の名場面。 なんと超音速旅客機コンコルドが、戦闘機から発射されたミサイルで撃墜されそうになる。ミサイルの追撃をかわすために、機長のジョージ・ケネディは、コックピットの窓を開けて信号弾を撃った。ミサイルは、信号弾の発する熱を追ってコンコルドからそれていった。 超音速機の飛行中に、窓を開けること、さらに信号弾を撃つことが可能かどうかは知らない。 そんなふうに一世を風靡し、思い出深いエアポートシリーズだから、『エアポート2015』のタイトルを見たときには、食指をそそられた。 もちろん、かつてのエアポートシリーズが、35年の時を経て21世紀まで綿々と続いてきたとは思わなかった。 正統派のエアポートシリーズは4本で完結しているはず。 それにしても、映画の冒頭、大空を行くCG以外の何物でもない旅客機にかぶって「THE ASYLUM PRESENTS 」と表示が見えたときには脱力した。 Asylumは、手間隙かけず、金かけず、ヒット作、話題作のパクリ、便乗映画を量産するアメリカの映画会社である。 だから豪華スターの競演などはもちろんない。 この会社の場合、映画を楽しむよりは、Asylumとして楽しむという心構えのほうがいい。 というところで『エアポート2015』のストーリーだ。 アメリカ発ロンドン行きの旅客機が、激しい乱気流に巻き込まれる。なんとかそこを脱するが、なんだか様子がおかしい。本来だったらまだ午後の時間帯で、このあと機内から夕陽が見られるはずだったのに、すでにとっぷりと日が暮れている。 最新の通信機器がまったく役に立たない。航空管制と連絡が取れない。 なんだなんだ、とりあえず雲の下まで降りてみると、爆撃機の編隊が空襲攻撃をしていた。 そこは第2次大戦中(1940)のヨーロッパ上空だとわかる。 旅客機は、タイムスリップして過去の世界に出現してしまったのだ。 運よく?イギリスの学会に参加する予定の歴史学者が乗っていたから、それがわかったんだよ。 まず、この夜という設定がクセモノだ。 真っ暗な中を旅客機が飛んでいきますから、地上も何も見えない。いいかえると、画面に映る外景は旅客機と闇だけでいいということ。 空襲場面も夜だから、建物なども闇の中でしかとは見えず、そこから火の手が上がっている様子はわかる。 で、ドイツの戦闘機Me262が襲ってくるが、なにせ暗闇だから、戦闘機がときおりそれとなく姿を現すだけでいい。 手間隙がかからない。 そして、このMe262とは、なんとジェット戦闘機なのだ。 実際にドイツ軍は、第二次大戦中にジェット戦闘機を開発を急いでいたとのこと。 しかし、実用化されるのも夜間飛行ができるようになるのも、もっと後になってからだったらしい。 そうした史実を曖昧にしてジェット戦闘機を登場させたのは、プロペラ戦闘機じゃあジェット旅客機に追いつかないからだね。 もし、当時の技術に忠実にして、たとえば地上からの高射砲攻撃の場面などをもってきたとしたら、撮影に手間隙、お金がかかっちゃう。 このあたりは「ここはもう我々の知る世界じゃない」「見知らぬ歴史が進んでいます」と話を進めていく。 第二次大戦中には力を発揮するところまでは至らなかったジェット戦闘機、だからなのか相手が民間航空機でも機銃攻撃などがかわされてしまう。 もちろん、民間航空機のほうだって、急上昇急降下、ジェットコースター級の飛行テクニックで銃弾をよけて飛び回る。 本来だったら弾があたってもいいような場面で、全然あたらない。 なんだかとってもスリリング。 そして、ドイツの戦闘機からミサイル攻撃が。 さすがに『エアポート’75』のように追跡ミサイルまでは登場させられない。 奇跡のアクロバット飛行で被弾をまぬがれていた旅客機も、ついに機体を撃ち抜かれる。 側面が破壊されれば、機内の気圧が激しく変化する。 こんな場面では、必ず天井から酸素マスクがぶら下がってくるのがお約束。 しかし、この映画の、この旅客機では、酸素マスクが落ちてこない。 故障なのか、不良品なのか、映画的な予算の問題での手抜きなのか? こんな旅客機には乗りたくない。 常識、定石は通用しないのがAsylum。 乱調のピッチャーは、的を絞ることができないので打たれそうで打たれなかったりする。 それと同じでドキドキ、ハラハラ、とってもスリリング。 映画(全般) ブログランキングへ ご協力のほど、よろしくお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[SF映画] カテゴリの最新記事
|