世紀の怪物/タランチュラの襲撃(1955)~あの大スターはどこにいた?
世紀の怪物/タランチュラの襲撃 [ ジョン・エイガー ]【中古】 夕陽のガンマン(Blu−ray Disc)/クリント・イーストウッド,クリント・イーストウッド,リー・ヴァン・クリーフ,セルジオ・レオーネ(監督),エンニオ・モリコーネ(音楽) 【中古】afb【中古】 続・夕陽のガンマン(Blu−ray Disc)/クリント・イーストウッド,リー・ヴァン・クリーフ,セルジオ・レオーネ(監督),エンニオ・モリコーネ(音楽) 【中古】afb原子怪獣現わる【Blu-ray】 [ ポール・クリスチャン ]【中古】 金星人地球を征服/ピーター・グレイヴス 【中古】afb(1956) 今回見たのは、以前CSのMovie Plusで放送されたものである。 本編が始まる前の画面には、出演者のトップに、かのクリント・イーストウッドの名前が掲げられていた。 しかし、映画の中では、オープニング・クレジットに彼の名前はない。 はたしてイーストウッドはこの映画に出ているのでしょうか? 主演はジョン・エイガ―、医師マット役の彼はB級モンスター映画によく出演している。 ほかに目を引く出演者は、レオ・G・キャロルだ。 ヒッチコック映画の常連的存在だが、なんといってもスパイ・シリーズ『0011ナポレオン・ソロ』のウェーバリー課長役が印象深い。一生懸命に『0011ナポレオン・ソロ』を見ていたから、ウェーバリー課長は近所のおじさんのように思える。 そのレオ・G・キャロルが演じるのは、生物学者ディーマー博士である。 人里離れた荒野に研究所を構えている。 博士は食料不足に備えて生物を巨大化させる栄養素の研究を行っていた。しかし、助手に研究開発中の放射性同位元素を結合剤とした栄養素を注射され、容貌がおそろしく変化していってしまう。 博士の助手たちも、栄養素によって姿かたちが変貌し、正常な判断力を失い死に至る。 この設定だけで、ホラー映画がつくれそうである。 ともあれ、ディーマー博士と助手のトラブルのどさくさで、栄養素を投与され犬くらいの大きさになったタランチュラが逃げ出す。 そして、タランチュラがつぎに姿を現したときには小山くらいに巨大化し、牧場の家畜を襲う。 知らせを受けて調べに行ったマットは、白骨化した家畜の近くにベトベトしたものが溜まっているのを発見する。それを手に取ると、なんとテイスティングするのであった。 何かわからない物質をいきなり口に入れるか? この人、お医者さんではなかったか? 小学校の理科の実験でも、してはいけないと厳重注意を受ける行為である。 検査の結果、そのベトベトはタランチュラの毒だとわかる。 言わんこっちゃない。 しかし、検査担当から「毒性は低い」とのコメントが加えられる。 確かに、タランチュラは毒蜘蛛というイメージの割には、死に至るような猛毒をもっているのではないとのこと。よかったねー。 巨大タランチュラは、家畜のみならず人を襲うまでになる。 そして、生まれ育った場所が懐かしかったのか、研究所を覗きにやってくる。 一人残っていた女子大学院生のスティーヴに巨大タランチュラが迫る。 そこへ救出にきた医師マット。 あわやのところで逃げ出し、研究所は巨大タランチュラによって壊滅する。 タランチュラは、車を走らせるマットとスティーヴを追ってくる。 街からは、警官隊が迎撃に向かう。 さらに、街では人々が避難するとともに、あるったけのダイナマイトを用意する。 警官隊のマシンガンをものともせずに進む巨大タランチュラ。 この時期、アメリカの巨大生物映画は、実物を使うことがよくあった。 今回も、生きているタランチュラを撮影し、それを拡大して画面に合成している。 実物のタランチュラだけに、見た目はリアルである。 けど、些細な点だが、ときどき脚の先っぽが切れる場面がある。 直線的にマスクを切って合成したためだろう。 このタランチュラ、薬物を注入されて動きがスローモーになっていたらしい。 確かに、巨大タランチュラがカサカサとせわしなく動いたら、迫力に欠けるからね。 それにしてもくだんのタランチュラは、役の上だけでなく、実体験として薬物の影響を受けてしまったわけだ。 さて、人々は巨大タランチュラの行く手に大量のダイナマイトを仕掛ける。 そして、巨大タランチュラがダイナマイトをまたごうとする瞬間に爆発させる。 この大爆発も合成である。 実際にその場で爆発を起こしているのではない。 荒野の実景に巨大タランチュラを重ね、さらに爆発シーンを重ねたのかな(三重合成)。 だから、道路が吹き飛ぶなどの周囲の環境への影響はない。 巨大タランチュラは爆発をものともせずに前進を続ける。 いよいよ街に迫るタランチュラ。 というところで空軍のジェット戦闘機編隊が到着する。 歓声をあげる人々。 巨大タランチュラにミロケット弾攻撃を仕掛けるが、効果はない。 ジェット機編隊は都合4機。 その中の1機だけが、コックピット内とパイロットの姿を映し出す。 指示命令を発しているところからして隊長機なんだろう。 しかし、この隊長、何やら見覚えがあるような・・・。 ジェットパイロットは酸素マスクを装着しているので、しっかり顔の確認ができないのだ。 ついにジェット戦闘機編隊は、隊長の「ナパーム弾投下」及び「続けて投下しろ」の命令とともにナパーム弾の波状攻撃を実施する― そして、エンドクレジット。 ここにもクリント・イーストウッドの名前はなし。 してみると、やはりジェット戦闘機編隊の隊長がクリント・イーストウッドだったんだなー。 このシチュエーション、どこかで見たような。 そう、『原子怪獣現る(1953)』では、若き日のリー・ヴァン・クリーフがクライマックスで登場する。 アメリカ陸軍の射撃の名手として、リドサウルスにアイソトープ弾を撃ち込むのだ。 リー・ヴァン・クリーフのほうは、クレジットにちゃんと名前があった。 クリント・イーストウッドとリー・ヴァン・クリーフ。 この2人は、マカロニウエスタンの『夕陽のガンマン(1965)』『続・夕陽のガンマン(1966)』で共演し、ブレイクする。 そこには感慨深いものがある。 なお、リー・ヴァン・クリーフは『金星人地球を征服か(1956)』に、金星人を呼び寄せる博士の役で出演している。