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テーマ:アニメあれこれ(27225)
カテゴリ:声優系DVD&アニメDVDのお話
今年の初め。一月の二日のこと。
なんの気なしに入った古本屋で、モノノ怪シリーズの第一巻「座敷童子」が ひっそりと、棚の脇に置かれていた。 田舎に居ると夜中のアニメの話題に完全に乗り遅れるので、モノノ怪というアニメが 放送されていたのは、知らなかった。 が、しかし。私の住む岩手の昔話にはなじみの深い「座敷童子」が出てくるアニメ らしいので、手にとってみた。 興味を惹かれたのは、座敷童子というタイトルだけでなく 今まで見たこともない奇妙なアニメイラストだったからだ。 千代紙でかたどったような美しい和傘の中に、時代劇アニメというには キテレツな姿格好の登場人物。 なんなんだ?このキャラクターは? 中古販売にしては、新品販売価格とそれほど変わらなかったので 買うのは迷ったが、とにかく、なんなんだ?という気持ちが先にたち 思わず買ってしまった。 それがコレだ。 モノノ怪 壱之巻 「座敷童子」 わたしが古本屋で買ったのは、初回版ではなかったがまあ、しょうがない。 中身さえ見れればいいか。そんな気持ちだった。 しかし、正月はいろいろと忙しい。 買ったけれども一度も見ないまま、帰省先の実家からアパートに戻った。 で。 一月のたしか十日頃、そうだ。変わったアニメDVDを買ったんだった。と思いだし。 娘に、一緒に見てみるか?と訊いた。 すると、見るというので夕飯後にお茶を飲みがてら見てみた。 この話しの主人公は臨月の女だ。しかし、なぜか金髪碧眼。 この女がとある老舗宿に一泊願うと請うのだが 宿の女主人が、腹ぼての女などめんどうくさい、さっさと追い出してしまい!と 番頭に言う。 泊めろ、泊めないの押し問答の末、人を泊めることなどない最上階の部屋に 女を通すことになった。 しかし、この部屋。実は普通の泊まり部屋ではなかったのだ。 そのきな臭さを感じた薬売りの男が、この一件にもの申すのである。 今まで見てきたアニメとは全く違う背景。間割。 キテレツな姿格好のキャラクター。 しかし、見ているうちに奇妙な違和感すらも、まるごと引きずり込まれていく 摩訶不思議で力強く、そして意図的な世界観。 そうなのよ。 なんなんだ?コレは?という奇妙な感覚が、次の期待感すら 呼び起こしていく、本当に摩訶不思議なアニメを見てしまったのよ。 なので、このDVDを見たその晩。わたしは楽天で第二巻を探してすぐに買ったわ。 それがコレだ。 モノノ怪 弐之巻 「海坊主」 江戸へ向かう商船「そらりす丸」に乗り合わせた曰くありげな人々。 順調な航海の筈が、気が付くと物の怪が現れるという恐ろしい海域へ進入していることが判明。 恐怖におののく乗客。静かに様子を伺う乗客。そしてその中に薬売りの姿も。 と、突然商船は見たこともない身の毛もよだつような物の怪たちに ぐるりと取り囲まれ、彼らは皆、意識不能な恐ろしい世界を目の当たりにすることとなるのである。 しかし、彼らに恐怖を与えた物の怪は、恐怖だけではなく、彼らが見ようとしなかった別なものを 与えたのである。 海坊主。泣けるーーー。こんなキテレツな姿格好のキャラクターなのに 切なくて泣けるーーーーーーー。 と、いうわけで。もはや、わたしの取り憑かれ度はとどまることを知らず 2月に発売される最終巻の「化猫」をまず予約。 モノノ怪 伍之巻 化猫 そして、既に発売中の第3巻「のっぺらぼう」を購入。 モノノ怪 参之巻 のっぺらぼう さらにまだ未発売だった第4巻の「鵺」も、のっぺらぼうを買った同日数分後に 予約購入。 モノノ怪 四之巻「鵺」 こうして、中古屋でなんの気なしに買ったDVD たった一枚が、わたしのその後21日間を 大きく変えてしまったのだ。 もーーねぇえ。。。。自分でも取り憑かれてる?って思うくらい 見ては次々楽天やアマゾンで購入するものだから、5日置きくらいにモノノ怪DVDが 届くという有様。 第3巻「のっぺらぼう」 夫。姑。小姑。自らの家族全員を惨殺した嫁のお蝶は今死罪を言い渡され 牢屋に繋がれている。 そこへなぜか現れた薬売り。 彼は、お蝶にこの一家惨殺を企てたのはモノノ怪の仕業ではないのか とお蝶に、事件の背景を語らせる。 そこへ、突然姿を現した男。だが男は顔を能面で隠したままである。 彼がモノノ怪であることを判明させた薬売りは、モノノ怪と対峙することになるが・・・・ 不思議というより、難しい物語だ。しかし、究極の映像美と共に この世に生きる人間の根底にある誰も見ようとしない沈殿しきった澱を わざわざ掻きたてて、見せつけようというある意味心理的ブラックホールなアニメである。 心ではない、奥底の人間の本質的な部分に突き刺さりえぐりだすような物語である。 一家惨殺にまで追いつめられた嫁のお蝶に、「そんな笑い事のために人殺しをして」 という薬売りのセリフが突き刺さるように印象に残った。 深い言葉である。 第4巻「鵺」 京町のとある古い屋敷にて、一人の女性に婿を取る決議が行われようとしていた。 一人の姫に、婿希望は4人。 姫の提案でお香の対決で婿を決めることとなった。 が、最後の一人がいつまで待っても現れず、それならばまあ、この3人でと 対決は3人で行うこととなったのだが、いざ、婿を決めようとした時 奥の間で現れなかった男の惨殺死体が発見される。 残っているのは3人。誰が男を殺したのか。 そして、さらに惨劇は次の・・・・・ この物語も秀逸だ。古い屋敷と小雪さざめく背景が、白と黒のモノトーンを 主体としてストーリーが進んでいく。 そして、あることがきっかけで色のないモノトーンの屋敷の中が 一斉に豪奢で絢爛で鮮やかな色彩へと変化する。 とにかく見事だ。芸術的な背景美。妖艶でコケティッシュな映像美。 全部集めると5巻目で最終巻。 この5巻目が2月22日に発売される。 巻数が増えるごとに、惹き込まれていく映像と物語が美しく絡み合い まさにアニメという括りだけでない、今までにない新しい分野を 知らしめたような最終巻に期待したい。 なんというか。このシリーズは、舞台アニメという言葉が ぴったり合うような、緻密に計算し制作してきた構成力を強く感じる 作品だ。 ああ。それと、もしも購入するのであれば各巻ともできれば 初回版の在庫があるところから購入することをお勧めしたい。 初回版はイラスト入りの外箱仕様になっている。 DVD見るんだから、外箱は要らないと言わず、集められるなら 初回版のほうで集めるが良し。 外箱の美しい印刷状態に惚れ惚れすること間違いなしなのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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