夜の虹 リカルの物語2
僕は皆が寝静まったのを確認し、窓からそっと家を抜け出す。物音を立てないように、そーっと抜け出すんだ!!愛犬のパロがいつものように僕の目をジッと見つめ、『全てを知っているよ』とウインクした。そして、僕は虹のように輝く美しい闇の中へと向かうんだ。静寂な闇の中に咲く色とりどりの花達は宝石のように美しく輝きまるで音楽を奏でているように神々しい香りを放っている。その景色は、オーロラが地上に舞い降りたように美しいんだ。もちろん、僕はオーロラを写真でしか見た事が無い。でも、絶対にオーロラよりも美しい場所だってことを僕は知ってる。僕が本当は子供じゃないって知ってるようにね。この美しい闇が僕はとても大好きだ。闇が怖いって?闇が怖いって誰が決めつけたのだろう?きっと本当の闇を知らないんだ!!本当に怖いのは闇ではなく、闇の中で僕に容赦なく襲って来るチックタックモンスターと呼ばれるヤツなんだ!!チックタックと恐ろしい音をたてながら僕を追いかけ回す!あの音がすると僕の胸は恐怖で締め付けられるんだ。見つかったらもう、どこにも逃げられない。戦うしか道はない。モンスターはどこからくるのか分からない。もの凄く恐ろしいやつなんだ!だけど今、この闇の中でチックタックは存在しない。もしかして闇が箱の中に隠してしまったのかも…。それとも闇が食べてしまったのかもしれない!だからといって油断は出来ない!もしチックタックが出て来たら、僕は勇敢に戦うって決めてるんだ!僕は絶対に負けない!それでも僕は、この闇はどこよりも安心していられてとても幸せな気分になる。キラキラと輝く闇の美しさに見とれて歩いていると僕の大好きな香りがしてくる。僕の大好きなおばあちゃんが作ってくれる、世界一美味しいゼリーの香りみたいだ。色とりどりのゼリーを花束のように作ったら、きっとこんな香りがするんだろうなって思う!!おばあちゃんが作るゼリーは、どんな果物よりも甘くて花のように素敵な香りがするんだ。作り方は内緒なんだって。いつも、僕のお嫁さんになる人にだけ教えるんだって言ってる。この香りがしてきたら、僕の小さな冒険も終わりに近づくんだ。香りがどんどん強くなり、体の全ての細胞が香りのシャワーを浴びて、僕はとても素晴らしい気持ちになる。香りが僕を完全に包み込み、そして僕の頭も体も、ゼリーのように柔らかくフワフワしてくるんだ。そして花びらが落ちるように、そっと落ちて行く。そして僕は…僕は…「リカル起きなさい」「リカル!!学校に遅れるわよ!」「ママ…眩しいよ…もう朝なの? 起きるよ!」ママは昨夜リカルが抜け出した窓を開け僕に朝の日射しをあてながらいつもと同じように僕を起こしに来た。そして、いつもと同じ僕の一日が始まるんだ!あっ今日はサッカーの試合だ♪ 続く精神世界ランキング新しいランキングも参加しました(^^)