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テーマ:スポーツ経営(73)
カテゴリ:Basketball
海外では元々概念として存在していたが、日本でもプロスポーツを成功させるために不可欠な戦略として地域密着という言葉は生まれた。Jリーグが成功に向かっていることで俄然重要性が認識され、昨年のプロ野球問題の際にも、「これからのプロ野球は地域密着でやらなければならない」という議論をあちこちで読んだ。BJリーグが発足する際も、当然のように地域密着構想が出された。
ところがこの言葉、どうも免罪符のように使われているのが気に入らない。地域密着という言葉の本質を考えて理解しようとしている人がどれくらいいるのか。何を偉そうにという感じだが、私には正直、有識者レベルですらそこがスッカラカンになっている人も一人や二人でないように見える。 例えば、スポーツマネジメントで取り入られかけているCRMについて、一般にもその有効性から無闇に使う人が増え、「55%が本質を知らずに失敗している」という話がある。正確にはこれは「ビジネスプロセスと顧客戦略と整合させ、長期的に顧客ロイヤリティを築き上げ、利益の改善を図ることである」ということであるが、目的と手段を取り違えてこれを「顧客情報を管理するソフトウェアである」ことと捉えてしまっている人が多いということだった。はっきりいって今言われつづけている地域密着、これも本質的には同様の問題があるのではないかと思う。 地域密着というのは、スポーツが好きでなくても「地元意識」という切り口で、様々な人に楽しんでもらおうという意図がある。それが、例えば地元商店街のような、これまでつながることのなかった方面も含めていろいろな広がりを持つ可能性があるから、絶大な経済効果が期待できるという話だ。ここで重要なのは、この言葉がスポーツの成功への絶対的手段でもなければ、単なる手段の一つ以上の意味も大して持っていないことである(目的というのなら「地域振興」ありきでスポーツをやる、と言えばいい。でも、bjリーグはそうなのか?)。その中身については、それぞれの地域性も考慮しながら、自分達の策定するビジョンが本当にその地にあったものなのか、充分に吟味して初めて効力を発揮するものだ。 ここまでのところ、ある程度元々の「色」がはっきりしている地方では比較的地域密着は成功していると言える。しかし東京や大阪などの大都市エリアでは、上のことを慎重に考えないと簡単にはいかない。というか、だからこそ目的と手段を取り違えてはいけない。 地域密着でなくても、スポーツチームが発展する例はいくつも存在する。例えば、読売巨人軍。ここが東京に地元密着の戦略を打ち出したところで今の地位を保つことができるのか?私はそうは思わないし、巨人にそんなものも求めない。元々全国的な人気があるのだから、東京に目を向けすぎて他の地域からそっぽを向かれることは球界的にもあまりいいことでもない。そんなものはヤクルトに任せてしまえばいい。 欧州に目を向けるとこんな例はいくつもある。例えばバイエルン・ミュンヘン(自分のファンのクラブばかり出しているけど気にせずに)。はっきりいってミュンヘンでは絶大な人気というわけでもない(2部の1860の方が地元人気はある)。ただ、バイエルンはドイツ国内どころか欧州中に人気を誇る。ファンクラブ会員数は世界で10万と言われる。それで財政的にも成績的にもさほど文句の言えない数字を残しているのだから、生え抜きを入れながら根底を失いさえしなければ別に問題ではない(バラックがいなくなっても、シュバインシュタイガーやハーグリーブス、ゲレーロといった生え抜きがいなくなる方が痛いと私は考えている)。バランスが崩れ始めているものの、マンUやレアルにも同様のことが言える。それでシティやアトレチコと上手く共存すればそれでいいのだ。一方でバルセロナもカタルーニャの誇りだからそれを失わないような戦略。要するに「ケースバイケース」でバックグラウンドを考慮していればそれでいいのである。その結果、地域密着戦略を使う使わないかを決めればいいのだから。 今の日本のスポーツ界はちょっと地域密着がそれありきで進められているような気がしてならない。別に他に有効な戦略さえあれば地域密着なんてやらなくてもいいのに。ヴェルディなんてその典型だったと思うのだが(個人的には、Jリーグに頼んで特例としてJの理念に沿わない方針を打ち出してもよかったと思う)。 ただ、本当に地域密着をやるからにはそれなりの覚悟が必要だ。地域に貢献すると言った以上、地域のできるだけたくさんの人に楽しんでもらえるクラブ作りをする必要がある。東京がどういう地域なのか、どんなことをすればみんなに楽しんでもらえるのか。それを考えてビジョンは出すべきであると思う。仮に観客みんなが求めていないとしたら、エンターテイメント的演出だってやるべきではない(例えば私みたいなスポーツ馬鹿はそんなものを求めていない。それはあくまで一意見だし、観客全てがスポーツ馬鹿なわけはないから受け入れられるべきでないが) 最近見たヴェルディ以外の失敗例はヤクルトスワローズであろう。今年神宮に一度でも行った人はご存知であろうが、若い客を入れようとでも思ったのか、ZEEBRAを起用して毎試合ヒップホップの演出をやりだした。次の打者の紹介などである。これがはっきりいって寒い。「Next batter is~!!」とかノリノリに紹介して、そんなイメージとは程遠い土橋なんかが出てくるものだから萎えることこの上ない。これが客増加につながればいいのだが、結局そんなこともない。若者に宣伝したという話も聞かない。今年私は神宮に3回行ったが、一度隣に座っていた年配の人が、そのヒップホップにつまらなそうな、寂しそうな顔をしていたのが非常に印象的だった。客も増やさずに、しかも既存のファンにそんな想いをさせてどうするというのだ。 こんな状況にも関わらず、古田は来期、東京音頭のヒップホップ版を作るとか言い出した。悪いが救いようがない。ファンサービス精神は買うが、彼は野球のプロであって球場プロデュースのプロではないのだ。古田さんよ、球団に頼んでまともなマーケスタッフでも雇ってもらってくれ。 東京アパッチもそこが問題になっている気がする。観客の反応とビジョンがマッチしていない。それはビジョンと地域密着構想がずれていることを意味する。ただ、彼らに何も指導してやれないリーグにも問題がある。BJリーグの河内コミッショナーは、おそらく深く考えずに地域密着構想を打ち出したと思う(だからアパッチについてはリーグとアパッチでも話し合っておくべきであろう)。 まぁJリーグも確かにそこは同じだし、社会的にそういう雰囲気になっている以上これは致し方ない。つまりはメディアや有識者に責任を問いてもいい。 要するに、最近語った有明コロシアムのあの状況は、多かれ少なかれいろんな所に責任が存在する問題なのだと思う。 もう少し地域密着の奥の具体的戦略のノウハウについて、いろいろな人が真剣に話し、各ステークホルダーがそれを理解しないといけない。この議論を進めない限り、はじめに書いた勘違いがこれからも起こる。多分最もそこに気付いて違和感を持つ人達というのは、顧客、つまり実際に毎試合のように神宮などのスタジアムやアリーナに来るたくさんのファンやサポーター、ブースター達のような気がする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.12.07 13:04:47
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