とうとうこの時が来たか、という感じだ。
巨人戦中継を大幅削減=日本テレビ放送網、来季地上波は40試合-プロ野球
日本テレビ放送網は14日、視聴率低迷が続くプロ野球巨人戦の来季の生中継について、地上波での放送を大幅に減らし、40試合とする方針を明らかにした。今年は開幕前に63試合を予定し、実際には57試合を放送した。代わりに、地上波で放送しない22試合をBSで放送する。
ビデオリサーチの調査では、他局も含めた今年の巨人戦中継の平均世帯視聴率が、年間視聴率の統計を取り始めた1989年以来最低の9.6%(関東地区)に低迷した。中継削減の方針について久保伸太郎社長は記者会見で、「地上波の視聴率を含む業績の回復と、BSに対するコンテンツ供給のため」と説明。「巨人戦が強力なソフトとして戻ることを強く期待したい」と述べ、4年連続で優勝を逃した巨人が強さを取り戻すことが必要との見方を示した。
(時事通信より抜粋)
もうすぐ巨人ファンになって20年だが、その私的には、巨人戦の視聴率低迷の理由で考えられるのは以下の5つだ。
1…巨人の戦力的な問題
FA制度以降に自軍選手を大切にせずに選手補強に頼ったことによる、自軍の元々持っている力の低下。
2…長嶋茂雄がいなくなった
巨人だけでなく、野球界を牽引し続けた長嶋茂雄が球界から身を引いた。また、松井秀喜の海外移籍も影響していると思われる。
3…娯楽が非常に多くなった
多チャンネル化により、巨人戦をやっている時間に巨人戦以外の野球も観られる、サッカーでも他のスポーツでも観られる、バラエティだって映画だって観られる、と人の好みが多様化した。また、野球をやっている時間に外に出る人も増えた気がする。
4…インターネットの導入によるメディア構造の変化
新聞やテレビの影響力は、インターネットの導入により一気に低下した。そして時代はインターネットでスポーツが観られる時代にまでなってきているし、テレビよりもインターネットなら自分の好きな情報が好きな時間に得られるので、「暇だからテレビでも観るか」から「暇だからインターネットでもやるか」に変わった人が増えた。巨人戦を「暇だから」観ていた層は、今は巨人戦どころかテレビすら観ていない可能性は高い。
5…プロ野球界の地域密着
ここ数年でプロ野球球団は九州、中国、近畿、中部、関東、東北、北海道、と、四国以外は全国に上手く散らばった。各地域で地元に近いチームを応援しようという風潮、応援してもらおうという努力が生まれ始めた。これまで巨人ファンだった人は地元球団を応援し始めている。
で、この5つが原因だとすると、巨人が何とか出来るのはせいぜい1と2だけ。私は「巨人が強くなれば視聴率が上がる」とかいう話は迷信以外の何者でもないとしか言えない。別に巨人やナベツネが悪い面もあれど、これは時代の流れなんだと考える方が自然なのではないか、と思う。
毎晩野球を民放で観られる時代はもう終わる。今の巨人がどんどん減る放映権をどこまで当てにしているのかはわからないが、彼らはそれよりも、どんな値段でも「放映されない」ことに危機感を募らせているのだろう。
個人的にはまずはテレビよりも、目の前のドームを、巨人を観たいお客さんで一杯にすることが先ではないかと思う。お客さんを呼ぶ努力はしているのはわかるが、Jリーグクラブのような「毎試合スタンドを巨人ファンで満員にする」というニュアンスのメッセージを聞いたことがない。NFLのようなブラックアウトポリシーではないが、まずお客さんで偽りのないくらい満員にしてから、しっかりとスタジアムに行くファンを増やしてから、テレビのことを考える「基本」に戻って欲しい。
「毎試合球場に行きたい。でも実際はそうはいかないから普段はテレビで我慢しよう。」
そういった、能動的な心でテレビは観る時代ではないのか。