山瀬功治と中田浩二の移籍騒動-2
4・中田浩二の移籍騒動こういう騒動は今に始まった話ではなく、昨年も稲本について契約金が安いとかいろいろ揉めていた。さて、ここで悪いのは誰なのか?何なのか? A・ボスマンルール B・日本の移籍規定 C・マルセイユ D・鹿島 E・代理人田邊氏私はAしかないと思う。その理由の前に…------------------------------------------------------そもそもボスマンルールというのはこんな経緯でできた。ベルギーでボスマンという選手がクラブに不当に保有されていて(当時、選手の移籍交渉権は選手自身が持つことができず、クラブが交渉権を所有していた)、ルクセンブルクのEU司法裁判所に、「欧州規約48,85,86条に照らし合わせて、サッカー選手も労働契約を尊重されるべきである。契約の終了した選手は、クラブに拘束されることなく、自由に働く場を選択できる労働者としての基本的権利を尊重されるべきだ。」という訴えを起こし、これにより、問題がベルギー国内からヨーロッパ全体に移行することになった。判決はボスマンが勝利した。その結果、EU圏内では「あらゆるサッカークラブは、契約が終了した選手から金銭の要求をすることは出来ない。」という規則ができた。これは選手の移籍が自由になるメリットがあったが、クラブは移籍金を取れないと大損害になるので、複数年契約が一般的になること、移籍金の高騰を生んだ。つまり、労働権の考え方で言えば今の制度は正当だが、結果的にサッカー界それ自体が潰れる危機にまで発展したのだ。-----------------------------------------------------さて、日本人選手が海外移籍する際にはボスマンルールが適用されることから日本にもボスマンルールが関係してくる。しかし日本では上記の複数年契約は一般的ではない。これは選手が場合によっては契約を拒否して自分が移籍しやすくするためであるが、では欧州との違いは何なのか?それは欧州は複数年契約プラス賃金の引き上げを選手に与えてきたことがある。しかしそれが同時に経営を圧迫することにつながり、選手にタダで出て行かれるくらいかそれ以上の損害を被ったので、全く誉められる策ではない。つまり、日本では(というより、ボスマンルールの中では)複数年契約を結ぶためには今以上に他で金を稼ぐか、クラブにそれだけの魅力を出させる以外にはなくなる。そんな簡単にできるものではない。ここまで考えると、そもそも複数年契約それ自体に無理があることが見えてくる(機能を果たしていない)。日本のルールがボスマンと違うのはボスマンより前に作られたこと、クラブを守るために契約満了後30ヶ月は移籍金が発生するようにしたことがある。たとえ世界ルールだとはいえ、元凶はボスマンルールだと思う。あくまでこのような制度に従えば、マルセイユ、鹿島、田邊氏それぞれの行動は別に当然のものではないか。特に田邊氏をたたくのはここでも筋違いかと。また推測だが、代理人からすれば一番の目的は選手の以降反映、つまり希望の移籍実現。次に両クラブの意向反映。これは山瀬のときも確かに同様だ。その順番で彼はここまで動いてきている。あ、でも移籍元と移籍先、どちらを優先しているかといえばどちらも移籍先だな、とも思う。それは当然なのかそうでないのか…(まぁ、やはり自分は正確にはこういう話を知らない。ちょうど私には運よくプロ野球界の代理人に知り合いがいるので、次にあったときに今回のことも関連して、代理人というものをもっと深く聞いてみたい。現在は仕事で忙しいようなのですぐではないが、いずれその人の考えが聞けたらここにも書こうと思う。)そして中田本人はむしろ被害者。千載一遇のチャンスなのだからここで我慢させるのもかわいそうだ。いろいろ書いてみたが、ここまでだけでは何の解決にもならない。そこで短期的、長期的にどうするべきか、自分なりに意見を考えてみた…のだが、やはりというか本当に浮かばない。ただ、とりあえず今回に関しては鹿島ファンには失礼な話だが、中田浩二の移籍は認めるしかないと思う。代わりにこれから入る肖像権収入をある額まで鹿島に払うとか、今後日本で親善試合をやるとかして何かしら鹿島に利益をつけるようにすることを条件に入れるとか(ただそんなことができるのか知らない)。ちなみに鈴木チェアマンの発言はちょっと無責任。気持ちはわかるが「じゃあどうすればいいんだよ」的な突っ込み入れたくなる発言をするのはこういう立場の人間としてはどうか。長期的には、日本を始め、アジア単位とかEU以外とUEFAの間で、橋渡し的ルールをもっとしっかり作るように、協会とかAFCとか、何か組織的に動くときが来ているとは思う。もちろん、現状では負けてボスマンルールを日本に押し付けられるという可能性が高いのかもしれない。でも、今後何十年にも渡り纏わりつくかもしれないルール、今から努力し続けていることは必要ではないか。(↑追記・どうもFIFAから日本のローカルルールは認められない、という判断がもう出ているようだ…)UEFAも、ボスマンルールの改正の検討をしているとかどこかで聞いた。彼らもまずいと思い始めているわけで、この機に何かしら動いてほしいと思う。(↑また追記・後から気づいたけどもう一部でもうそういう動きはあるみたいで)最後に、山瀬の話も中田の話も、自分が他サポだからこういう意見になるかもしれない。もし渦中の選手が東京の選手だったら自分が批判した。感情の接し方をするのかも…P.S kitaharaさん、せっかくリクエストしていただいたのにこのような鹿島にとって厳しい意見になってしまってすいません。あと、田邊さん、影ながら応援しています。がんばってください。