特許技術者の仕事~その他~
今年も残りわずかと成ってきました。やり残したことは・・・と考えて、以前、自分の仕事の説明で、1.出願権利化2.他社特許対策3.自社特許活用という項目で書いており、まだ、1しか書いていないことに気が付きました(^^;Aということで、今日は一気に、残りの2,3について書いておきたいと思います。2.他社特許対策 私の勤める会社はメーカです。次の新製品発売に向けて、常に開発案件が走っています。 新規の開発があれば、そこから当然特許も生まれるのですが、同時に気をつけなければならないことは、他社特許の存在です。全く誰も手をつけていない新規分野の製品であれば、気にする必要は無いですが、実際にそんなことはありえません。競合メーカがある限り、他社特許は検討しなければなりません。 私の会社では、新規開発の際は、当然他社特許も検討するステップがあり、開発側と共同で検討に当たります。 何も問題となる特許が無ければよいですが、もし問題となりそうな特許が発見された場合は、製品発売前に対策を講じる必要があります。 具体的には、問題特許が本当に侵害するものであるかどうか、知財部門で鑑定します。その際には、製品と対応させた非抵触理由の検討と、公知例を調査した上での無効理由の検討が主な仕事になるでしょうか。 とにかく、非抵触理由か無効理由が立てられなければ、安心して製品販売は出来ませんので、何が何でも何れかの理由を立てるようにします。最悪は、設計変更を開発サイドに迫ります。そして、米国特許が相手の場合は、米国弁護士の鑑定も取っておく場合が多いです。 実際に私の実務でも、たびたび頻発する他社特許対策ですが、知財の仕事の中では、結構守備的(後ろ向きとも言えるかな・・)な仕事ですね。 あまり成果としては目立ったことが言えない仕事ですが、個人的には面白い仕事だと思っています。3.自社特許活用 特許を取ったからには使わねば、ということで、いわゆる競合他社とのライセンス交渉の仕事です。 おそらく、大方の会社には渉外担当の方がいて、その担当が実際の契約は纏めるのでしょうが、特許技術者もライセンス交渉には関わります。具体的には、相手にぶつける特許の抽出と、相手の製品に対する侵害立証理由検討が主な仕事でしょうか。 更には、技術的な議論では、相手会社と直接交渉する場合もあります。また、相手からカウンター特許が返ってきた場合、それに対する非抵触理由または無効理由の検討も行います。(2.他社特許対策と同じことですね。) 要は、如何に、彼我の関係で、自社の特許ポジションを上げていくか、という仕事が、特許活用においては特許技術者のメイン業務となります。 実際にお金の出入りがありますので(通常、億単位)、一番成果が見えやすく、華々しい仕事であるといえますが、交渉は2,3年続くことはザラですし、交渉に入る前の準備も相当な時間を要します。労力は一番掛かる仕事ですね。 個人的には、実際に活用をやって、他社と抵触・非抵触の議論をガシガシやれれば、どのようなクレームが良いのか、どのような明細書が良いのか、肌身に染みて考えさせられますので、出願権利化の仕事にフィードバックできて、非常にスキルアップには良いなぁ、と考えております。以上、とりあえず書いてみました。これで、今年の書き残しはないかな(^^;