写真家カルティエ・ブレッソンの大回顧展
昨日、今日とNYは本当に最高のお天気暑くもなく、寒くもなく、心地よい風が吹いてただ外にいるだけでも、心が踊ります。そんなお天気の中、この日は、友人とMOMA現代美術館へ行ってきました♪今、MOMAで行われているのは、写真家アンリ・カルティエ・ブレッソンの大回顧展。私は全く写真には詳しくないのですが、20世紀を代表するフランスの写真家だそうです。これが、もうすごいのは入り口に彼が回ったところを記した巨大な世界地図が貼られてあるのですが、現在でも、これだけのところを回るのは、とても困難だろうと思うほどこの当時(1940年代~)に、世界中のあちこちを訪れていること。世界地図には彼が通った軌跡も描かれていて、ここは飛行機、ここはバス、ボート、ここは自転車!と彼が何を使って移動したかまで記されています。さて、このカルティエ・ブレッソン、様々な歴史の場面で、決定的な瞬間を捉える写真家として知られているそうですが、おもしろいのは、例えば、大統領演説を撮るのに彼が撮っているのは、周りの群衆の表情だったり必ずしも、新聞に掲載されるような表の写真を撮っているのではないのですね。そして、写真を見ていると、そこで人々がどんな気持ちで何を話しているか、までひしひしと伝わってくるのです。ああ、このおばあさんは、自分のことをいろいろ聞いてほしくて誰かれ構わず、話しているんだろうな~とかああ、この黒人の若者は、人種差別をされて、怒りに震えているんだな~とかこの青年たちは、自分たちの夢や希望に胸が高鳴っているんだな~とか人々の一瞬の表情を捉えて、例え、それがどんな状況なのか知らない人にでもはっきりと伝わってきます。その1枚の写真を見ているだけで、そこに様々なストーリーが浮かんでくるものもたくさんありました。例えば、霧の中の橋のふもとに倒れている一人の人。それを見ていると、昔見たイタリア映画のワンシーンをありありと思い出して切なくなったり。(友人によると、その映画の日本語タイトルは「愛の嵐』だそうですがその映画の最後のシーンで、霧の中の橋の上で銃殺されるというシーンが印象的だったので)普段、あまり写真展を見に行かないせいもあって、写真の撮り方に対しても、いろんな勉強になりました。構図の取り方も、普通の写真(普通って何?というつっこみはなしね)のような構図ではなくて、ポートレートでも一見バランスが悪いような、無駄なスペースが多くあったりするのですがそれが新鮮な感じがします。すべて、モノクロ写真ですがコントラストがほとんどない、ボーっとした印象の写真も多くあってそれもまた違った効果を生み出していました。展覧会はかなりの量の写真で、一つ一つ見て回ると時間がかなりかかります。これでも彼が人生で撮った写真のほんの一部なんでしょうね。彼は96歳まで長生きしているので、ほぼ1世紀を通じて世界中の様々な出来事を、人々の瞬間を捉えてきた人なんだなあと。アート関係の学生でもある友人の話によると今回のMOMAでのカルティエ・ブレッソンの大回顧展には何年もの月日をかけて準備されてきたそうでフランス語、英語が堪能なアートの学生たちのボランティアを募ってリサーチを行ったり、膨大な資料を整理したりするのだそうです。確かに、これだけの展覧会を開くのは本当に大変だろうなあと容易に想像できます。彼は1965年に日本にも4ヶ月訪れていて、日本全国を回っています。残念なことに、今回の回顧展では、彼の日本の写真は4点ほどしか展示されていなかったのですが外人が撮る日本のありがちな風景ではなく視点がおもしろいな~と感じる作品でした。(というか、なぜこんな風景を撮りたいと思ったのか、意味不明の写真もあり)また、現在MOMAではピカソのエッチングやリトグラフを集めた展覧会も行われていて、それもまた素晴らしかったです。ピカソのデッサン力のすごさ、またそこから大胆にデフォルメしていく過程がよくわかります。そして、その作品を仕上げてゆくスピードの早さにも驚きました。リトグラフに、完成した日付が記されているのですが、本当に短期間で、どんどん完成させているのです。もうほぼチャネリング状態で、天から降りてきて作品を作り続けているとしか思えないほどアンリ・カルティエ・ブレッソンの大回顧展は今月6月末ぐらいまで、行われているそうなので、NYに住まいの方はぜひ♪すぐに影響される私は、手持ちの写真をモノクロにしてみました。かなり安易@Monument Valley@Taos,New Mexico@Taos, New Mexico@New York